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2011年7月 7日 (木)

86-耳の活躍。

え、どうして知ってるの?
驚いたのはこどもたちばかりではありません。
ヒーゲル先生もリカ機関長もパックさんも、ワタリノフ航海士とさかさになったラムネド王子をいっせいにながめました。
ラムネド王子の顔がみるみる青ざめていくのがわかります。
「お、おまえは何者だ。ぼくを殺しにきた空の一族の者か?」
王子の声が震えています。
ワタリノフ航海士はそれには答えないで、ヒーゲル先生たち大人だけを手招きし、少し離れたところに集めました。

こどもたちは大人たちが何を話しているのか気になりましたが、小声で話しているので聞き取ることができません。
「なんか気になるよな」とトビーが言うと、
「変よね」と、とコロンも大人たちのようすが気になっています。
「そういえば、飛行船を降りるころからカケローニ先生のようすもいつもと違っていたわ」
ラムネド王子を背負ったハーネルが、トビーとユキの顔を見て目で何かを伝えました。
トビーとユキもハーネルが何を言おうとしたかすぐにわかりました。
二人とも目でうなずいただけで一言もしゃべることはありません。
そのときハーネルがコンラッドに、ラムネド王子の足に巻いた葉っぱのぐあいをみてほしいと大きな声でたのみました。
86「ツルがほどけかかっているみたいなんだよ」
「え、さっき見たけど大丈夫だったぜ」と言うコンラッドを、コロンが腕をひっぱてハーネルの背中側に連れて行きました。
コトとポンゴもハーネルの周りに集まってきました。
みんなもハーネルが何を言おうとしたのか気づいたようです。
チュチュはさかさまになっている王子の顔と向かい合って、もう痛みは楽になった?と心配そうに聞いています。
トビーとハーネル、ユキ、三人の耳がワタリノフ航海士たちのほうに向けられていることに大人たちは気づいていないようです。

〈自分が先ほど手に入れた新しい情報では・・・〉
小声だけどよくわかるぞ。ワタリノフ航海士だ、とトビーは心の中でつぶやきました。
〈彼ら・・・アンブレロッサ王国の一団が、ものすごい数でもうすぐこの島にやって来る。そしてその目的はもちろん浮きガス祭りの見学ではないらしい〉と、そんな内容です。
〈それが例の“空で起こるかもしれない不穏な事態”の正体ってこと?〉
今度はリカ機関長の声だ。パックさんが浮きガス増産計画、とかなんとか言ってるぞ・・・。
トビーはさりげなくユキのほうを見ましたが、ユキも〈ちゃんと聞こえているわよ〉と言うように、少しうなずいてみみせました。
ふおんな事態・・・って、どんな事態なんだ?
ハーネルも大人たちの声を聞き取っていますが、意味がよくわからないようです。
どっちにしろあまりいい状態じゃないってことだよな、これは・・。
〈この二つのことが一つにつながっておるとしたら・・・とにかく早く飛行船に戻って、これからのことを船長たちと話し合わにゃならんな〉
〈時間がない、ぐずぐずしてはいられませんよ〉
ワタリノフ航海士のこの言葉で立ち話は終わり、大人たちはこどもたちのところに戻ってきました。

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