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2011年5月18日 (水)

84-ラムラム諸島。

「いやみごとなもんじゃ。この応急処置のおかげで、直りが早いじゃろ」
傷口を調べたヒーゲル先生はコトとコンラッドを大いに誇りに思いました。
「コトが集めたチドメグサはマホロバニカにあるものとは少し種類が違うが、効果は同じじゃ。コトのおばあさまに感謝せにゃならんな。
そして君はこの子らに感謝せんとな」
とラムネド王子の羽のある腕に手近な枝木を当てて捻挫の手当てもしました。
そしてことの成り行きをこどもたちから聞いたヒーゲル先生はラムネド王子に、なぜここにお一人でおられたのかな?と、ちょっとあらたまった口調で質問しました。

「向こうにある浮きガスの樹のガスを直接吸い込んで、気持ち悪くなってふらふらと漂ってたら、ここに落っこちてしまったのだ。
ここの浮きガスは“浮かない”って聞いてたのに・・・」
「それは災難でしたな。じゃがそうではなくて、王子であるあなたがお供のものもつけずに、お一人でいらしたかということをお話くださらんかな? もし、よろしければじゃが」
最初王子は自分の口からその理由を話すのをためらっていましたが、ハーネルに〈そもそも王子ってのが作り話じゃないの?〉と言われたのが気にさわったのか、何かを決意をするような顔をして話し始めました。

そのときワタリノフ航海士は、こどもたちとヒーゲル先生が一緒にいるところを空の上から見つけたので、大急ぎでリカ機関長とパックさんを呼び戻しに、浮きガスの樹林に飛んでいきました。

84ラムネド王子の話したことによれば、自分はアンブレロッサ王国のただ一人の王位継承者で、アンブレロッサは苗字であると同時に国の名前であり島の名前でもあるようです。
アンブレロッサのあるラムラム諸島は、マングラップ島から西に少し行ったところにあります。
もともとラムラム諸島はマングラップ島も含めて“インデナイカ”という国に所属していましたが、700年ほど前に王国としてインデナイカから独立をしました。
それはコウモリ族が、インデナイカの陸の種族からは“羽のある陸の種族”として、鳥族たちからは“卵を産めない空の種族”として、両方の種族から迫害され続けていたからだそうです。
マングラップ島のコウモリ族と一部の陸の種族だけが、ラムラム諸島に移り住み独立してできあがった国、それがアンブレロッサ王国だということがわかりました。

これまで周りの者たちから、マングラップ島の住人は凶暴で、ラムラム諸島の者たちを見ると殺すか、ぼこぼこに殴る、そんな話しか聞いたことがなかったので、最初トビーたちを見たときは本当に殺されるのかと思って怖かったのだそうです。
威張っていたのは怖かったからで、でも、彼らがマングラップ島の者ではなくてマホロバニカからやってきたこどもだとわかったので少し安心し、いまはけがの手当てをしてくれたことに感謝しているとも言いました。
〈王国の教育係の話では、マホロバニカでは陸の種族も空の種族も、そして羽のある陸の種族もみんなが仲良く暮らしていると聞いている。だから自分も一度行ってみたいものだ〉とみんなを見回しながら言いました。

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