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2011年5月13日 (金)

83-王子?。

「へぇ、こいつお礼が言えるんだ。でもユキ、なんでおまえがそんなこと知ってんの?」
「さっき研究所で助手の女の人がそう言ってたよ、ハーネルキャプテン。
部屋にもポスターが張ってあったじゃない」
「そうだった? おれダンスってあんまり興味ないからぜんぜん気づかなかった。
え、みんな知ってた? そう。ポンゴ、おまえも? ふ~ん。
で、ラムネ王子、ひょっとしておまえも出るの?」
「何度言ったらわかるんだ。わが名はラムネドだ! おまえのでかい耳は飾りでついているのか。
ぼくがダンスコンテストに? 出るわけないだろ」
「く~っ、そんなことおれらにわかるかよ。出るか出ないかなんて。単なる見物ならおれも一緒だから連れてってやるよ。いまから行けばじゅうぶん間に合う。
さあ、おれに負ぶされ」
ハーネルはいやいやながらでしたが、ラムネド・・・王子に自分の背中を貸そうとしました。
この意外な展開に驚いたのはラムネド王子ではなく、ほかのこどもたちでした。
コンラッドの、〈ハーネル、君のことがときどきわからなくなるよ〉という言葉に全員がうなずき、トビーまで本当に双子か?と疑ったほどです。

83「いや、君の好意はありがたいが、ぼくは自分で行ける。けがをしてるのは足であって、羽ではないから」
とラムネド王子は座ったまま羽を広げました。
震えはおさまってきたようです。
でも、痛い!と言ってまた樹の根元にうずくまってしまいました。
どうやら痛めたのは足だけではなさそうです。
腕も捻挫していることがわかり、王子のほうもいやいやながらですが、ハーネルの背中を借りなければならなくなりました。
「だろう。最初から素直に負ぶさっとけばよかったんだ」
勝ち誇ったようなハーネルに、王子は〈断腸の思いだ・・・〉とつぶやきました。
でも残念ながらハーネルにはその言葉の意味がわかりません。

「ハーネル。傷口が心臓より下にあるのはまずいぞ。背負うならさかさまにしたほうがいいじゃろう」
声をかけたのはヒーゲル先生でした。
「白ヒゲ先生! こんなに先生に会いたいと思ったのは初めてです!」
ハーネルの目にうっすら涙がにじんできました。
みんなはいっせいにヒーゲル先生の元にかけ寄りました。
ヒーゲル先生はこどもたち全員の無事な姿を確認して、とても嬉しそうな目をしました。

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