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2011年4月25日 (月)

79-コロンの技。

「あそこだ。だれか倒れてるよ」
「足に何か付いてるわ」
「さっきの食虫植物みたいなものだぞ」
ポンゴが駆け寄って抱き起こしましたが、気を失ってぐったりしています。
みんなもその周りに集まってきました。
「だれかしら?コウモリ族の男の子みたいね。わたしたちと同じくらいだわ」
「トゲトゲ植物に足を突っ込んじゃったのかな」
そう言いながらコンラッドがそれに触れると、突然その植物のようなものが動き出しました。
「わあーっ、何だこれ!?」
その子を抱きかかえているポンゴは足に付いているものを見るなり
「それは植物じゃない! トカゲだ。トカゲが食いついてるんだ! 早く取らないと!!」
とコンラッドに、気をつけて引き離すよう言いました。
「引き離すって・・・どうやって?」
後ずさりし始めているコンラッドに、
「そんなことぼくにわかるわけないよ。とにかく早く何とかしないと」
一時的に体を麻痺させる麻酔のような液が牙から出るけど、その液に命を奪うような毒はないから早めに引き離せば命に別状はない。
でも獲物を気絶させてゆっくり飲み込んでしまうので、その前に引き離す必要があるんだと、ポンゴは以前図鑑で見た“カズラモドキ”の別名がある、食虫植物に擬態した“マーレイトカゲ”のことをごく手短に説明しました。

79_2「そ、そうか、毒はないんだな。おまえよくそんなこと知ってたなぁ」
とコンラッドがそのカズラモドキのしっぽをつまもうとしたとき、コロンが
「だめ、ちょっとまって」とコンラッドの手を押さえました。
「邪魔するなよ。早く取らなきゃいけないんだ。いまポンゴの話してたことを聞いただろ」
と今度はハーネルがコロンの手をどけようとしています。
「そうじゃないの。ポンゴ、確認するけどこれ、本当にトカゲなのね」
「そうだ、と思う・・・。いや間違いない。トカゲだよ」
「だったらしっぽをつかんだってダメよ。すぐ切れてしまうわ」
と言ってコロンはコンラッドと入れ替わり、トカゲの顔の横、あごの辺りを右手の親指と人差し指ではさみました。
そして3呼吸ほど息を整えてからその指先に一気に気を送り込みました。
みんなには「ふん!」という短く息を吐く音が聞こえただけですが、次の瞬間にはもうコロンの右手には、力なく伸びたカズラモドキが垂れ下がっていました。


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