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2011年4月20日 (水)

78-怪しげな植物たち。

マホロバニカでは見たことのない植物がおい茂り、昼間でも薄暗いジャングルですが、お日さまも西の水平線に近くなってきているので、こどもたちのいるあたりはずいぶん暗く感じられます。
スイテンドウが放つ光のせいで、浮きガスの樹林のある河口方面が遠くにぼうっと輝いて見えています。
そんな中をチュチュやコト、ポンゴは平気な顔で歩いていきます。
ほかのみんなと比べると比較的暗がりでもよく見える目を持っているので、この三人が先頭を歩きながら、〈そこにトゲトゲの草が生えてるから左によけて〉などと注意をしてくれます。
それでもたまに、
「いてっ! もっと早く言ってよ! おれの黄金の右足を引っかいちゃったじゃないか」
とハーネルが騒ぎます。
「まあ何かしらこのいいにおい」
甘いにおいに敏感なコロンがにおいにつられて鼻をそこに近づけようとしましたが、それをチュチュが急いでとめます。
「ダメ!そこで止まって! 鼻を近づけちゃ危ない!」
驚いてコロンがよく見ると、まるで大蛇が大きな口を開けて牙をむいているようなな大きなとげを持った植物が、目の前にありました。
「ありがとうチュチュ。こんなところに鼻を突っ込んだら鼻をかまれちゃうわね。
この植物の口みたいなところから甘い蜜のにおいがするの」
遠巻きにトビーとハーネルが鼻を寄せて、くんくんとにおいをかいでいます。
78 「ホントだ。これで虫をおびき寄せてるんだな。
コロン、おまえ食いしん坊だから気をつけないと危ないぜ」
とハーネルが憎まれ口をたたいたので、さっきハーネルが引っかき傷を作ったところをユキが軽く蹴飛ばしました。
「あいてっ! 何するんだよう」
「女の子に失礼なことを言うからよ」
そしてチュチュに、この子たちがトゲトゲに引っかかりそうになっても、もう知らせなくてかまわないよと言って、赤い目でハーネルたちをにらみつけました。
「わ、わかったよぅ。もう言わないから・・・」
まったく、人食い植物より怖いなユキは、とハーネルはトビーに耳打ちしたので、トビーが〈しっ、もう言うな。ユキの耳もおれたちと同じで感度いいから〉と兄らしくハーネルに注意しました。

「わーっ!いたたたたた・・・・!!」
と、だれかが叫び声をあげました。
「今度はだれ?トビー?それともまたハーネル?」
ユキが二人のほうを見ましたが、そうではないようです。
「コンラッド?」
「いや、ぼくじゃない。聞いたことのない声だったぞ」
とあたりを見回しました。
「あたいらのほかにだれかいるん?」
コトが心配そうに目をこらしてあたりを見渡しました。
うーっという、押し殺したようなうめき声がしたあと、草むらの奥でドサッと何かが倒れる音がしました。

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