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2011年4月18日 (月)

77-ダンスコンテスト。

「これってまぼろし? “急性浮きガス吸引中毒”による」
「あいかわらず元気そうね、パラソラ。わたしは本物のリカ・ケミストンよ」
派手なダンス用の帽子をかぶったパラソラと呼ばれた女性の研究員と抱き合いながら、リカ機関長は横にいる、同じく帽子をかぶり口をぽかんと開け、片足を挙げたままのトブカ所長ににっこり笑いかけました。
「こりゃまた、めずらしいお客さんだ」
ようやく足を下ろして握手をすませた所長に、リカ機関長はオデッセイのみんなを紹介しました。
そして、どうやって“あのこと”をきりだそうかと思っていると、
「あのぉ・・・、ぼくたち、研究所の中や、下に降りて周りを見学したいんですけど・・・・」
とトビーがハーネルやコンラッドに促されて、リカ機関長に小声で言いに来ました。

77 多分機関長は、研究所時代の仲間とつもる話がおありでしょうからどうぞごゆっくり、などと大人のようなことを言っているのをとてもおかしく感じながら、ちょうどいいタイミングなので、
「そうねえ、せっかくだから見学させてもらうといいわね」
と、ヒーゲル先生の顔を見ました。
「ああ、それがよかろう。めったに見られんような施設じゃからな」
ヒーゲル先生もリカ機関長にうなずき返しました。
するとパックさんが
「下の実験室で新しい研究員助手も浮きガスダンスの練習をしてるから、彼女に頼んでくるよ」
と、こどもたちを階段を使って下まで案内し、また戻ってきてくれました。
リカ機関長は昔話をすることもなく、“いま自分たちが遭遇するかもしれない何か”について手短に話し、“浮きガス増産計画”についても詳しく質問しました。

実験室には変わった装置や器具が部屋のあちこちにあって、壁の周りの棚にも色とりどりの液体が入った容器がずらりと並んでいます。
研究員助手の女性は毎日見ているものなので、大して興味はなさそうです。
こどもたちは少し退屈になってきたので、研究所の外に出てみたくなりました。
研究員助手は今夜から始まる浮きガスダンスコンテストの練習がしたくてたまらないといったようすなので、〈ぼくたち外が見学したいんですが、ここを出てもいいですか?〉と聞いたときも、〈もちろんよ!〉と言って大喜びで部屋のとびらを開けてくれたほどです。
それでも一応、〈エレベーターを使うなら動かすのを手伝おうか?〉と言ってくれました。
でもこどもたちは階段をくだるだけなのでそれを丁重に断り、にぎやかに階段を降りていきました。

浮きガスダンスって聞いたら、なんだかわたしも踊りたくなっちゃった、とチュチュが言うと、今夜はバレーの練習時間がとれなくなっちゃうかもね、とコロンも残念そうに言いました。
「その代わり浮きガスダンスコンテストに飛び入りで参加して踊っちゃえば?
わたしもホントは出てみたいのよ」
浮きガスダンがどんなものなのかはわかりませんが、ユキも興味があるようです。

「ヒーゲル先生たちに断らなくてもいいかしら?」
黙って外に出てしまったことがコロンは少し心配です。
「あの研究員助手さんが言っといてくれるんじゃない?
それに、そんなに遠くには行かないし」
ハーネルの意見に結局全員賛成し、研究所から“そんなに”離れないということで、裏手の林・・・本当はジャングルなのですが、そこにみんなで向かっていきました。

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