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2011年4月 1日 (金)

71-自然の中のスイテンドウ。

オオミツボカズラの樹林はパンラプス川の河口周辺に広がっています。
入り江から少し入った、川の水と海水が混じりあったところの水面から、高くそびえたっていて、オデッセイに積まれているオオミツボカズラがミニチュアサイズに思えてきます。
樹の周りにはたくさんのウミスイレンやウミバスの葉が顔を出していて、水上の散歩道になっています。
この島のハスの葉はとても浮力が強いので、マングラップサイが乗っても水に沈むことはありません。
浮きガスの樹から溶け出す成分のせいだということが最近の研究でわかってきましたが、その研究にたずさわったことが、実はリカ機関長の密かな自慢です。

71 「みんな足元に気をつけながら下のほうを見てみて。
ほら、水の中」
リカ機関長に言われてみんなが根っこのほうを見ると、水の中が淡く輝いています。
お日さまの光をさえぎるほどの樹林なのに、その光を受けてこの川の周辺が光って見えます。
「スイテンドウ、だったかしら」とコロン。
「正解。そしてその光に誘われてやってくる魚やエビ、カニももうおなじみでしょ」
こどもたちは、先ほどビーチでリカ機関長から買ってもらったココナッツミルクを両手で抱えながら、水の中を覗き込みました。
ココナッツの実はチュチュにとっては大きすぎるサイズなので、コロンが彼女の分もかかえています。

「オオミツボカズラの根っこの部分を、特にスイテンドウと呼びわけているけど、水の中の生き物にとってはそれがお日さまに当たるからって前に言ったわね」
リカ機関長の臨時授業の始まりです。
「この光のおかげで水の中の環境が快適に保たれてるって」
こどもたちは船内見学ツアーでの説明を思い出しました。

浮きガスの樹の周りの水の中ではスイテンドウがお日さまで、その周りにはたくさんの植物が育ちます。
そしてその植物やプランクトンをえさとして、たくさんの魚やエビやカニや貝が育ちます。
樹の根っこ、スイテンドウに付きすぎたミズゴケはウミタニシなどの貝が食べてくれます。
そして水の中の生き物たちの死がいやふんが、プランクトンたちに分解されて浮きガスの樹の栄養になります。
そして浮きガスの樹は水中にたくさんの酸素を、地上には浮きガスを出してくれます。
もちろん浮きガスは空気と出会うとすぐに分解されて普通の空気に変わります。
オデッセイの中にある巨大な金魚ばちの中は、ここ、パンラプス川の自然環境に、できる限り近い形で再現してあるんだということが、みんな自分の目で確かめられてよくわかりました。

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