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2011年2月

2011年2月25日 (金)

繊細な装飾の逸品。

28 AGFA Billy Clack N74[1934-1940]

Series,ECO Angle-6

アグフアビリークラックN74
アールデコスタイルのシンプルな折り畳み式カメラ。
ボディー全体に施された美しく繊細な線の装飾が、撮影される写真にまで反映しそうです。

カメラのことではないのですが、社名AGFAの日本語表記は「アグファ」ではなく「アグフア」が正しいので、ここでもそれに従っています。

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ECO(エコ)アングル
We Enjoy
    Communication with
    Optical
「写真を楽しむ視点」というテーマで2005年から毎年一つ、
コマーシャルフォトスタジオ「有限会社キューブリック」の
グリーティングカード用として、
自然素材でアンチックカメラを再現したシリーズ。
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2011年2月18日 (金)

ごめんなサイ。

110218 連載絵物語「冒険教室」をいつも読んでくださりありがとうございます。
絵作りがストーリーのテンポに間に合わず、本日のアップロードができません。
お楽しみのかたにはご迷惑をおかけしますが、
しばらくお待ちください。(ミム)

2011年2月18日(金)

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2011年2月16日 (水)

70-ラプスビーチの午後。

島の人たちがラプスビーチと呼んでいる白い砂と遠浅の海岸。
そこには浮きガス祭りを目当てに訪れたたくさんの人が、やしの木の木陰でのんびりと午後のひと時を過ごしていました。
もちろん、入り江の外の海では波乗りを楽しんでいる人たちもいます。
中でもひときわ目を引いているのが、マングラップサイの波乗りです。
大きなからだをじょうずにあやつって、白い大波を背にしながら岸のほうに向かってくるようすに、浜辺で見ている人たちが大きな拍手を送っています。

「すっごいわねー。あんな大きなからだでどうして沈まないのかしら?」
ユキがハーネルに話しながら手をたたいています。
「板がさらに大きいからだろ。
あー、おれも自分の波乗り板があったらなー・・・。
おれだってあれくらいのことはやれるのに!」
ハーネルは憧れと悔しさが半分半分、といった表情でサイの動きに見入っています。
カケローニ先生から釘を刺されているので、こどもたちは砂浜に近い浅瀬の海で泳いでいます。
それでもマホロバニカの海では見たこともない、色鮮やかな魚たちが目の前を優雅に泳いでいるのを見つけては、歓声を上げて喜んでいます。

70 ヒーゲル先生ご苦労さまという声で目を開けると、リカ機関長が手になにやら大きなかたまりを二つ持ってこちらにやってきます。
「あ、すみません。
お昼寝の最中だったかしら?」
かたまりの一つをヒーゲル先生に手渡しながら、機関長はヒーゲル先生の横のイスに腰掛けました。
「ああ、機関長。かまわんよ。
子守りに疲れてついうとうとしてしもうたわい」
とあくびをしながら、かたまりを受け取りました。
「なんじゃね、これは」
「ラプスビーチ名物、ココナッツミルクですわ。
ほら、そこの売店に並んでいる」
リカ機関長が指さす先には大きな字で“ラプス・パラダイス”と書かれた派手な看板があります。
お土産品を並べた売店の奥にレストランがあって、そこで出しているココナッツミルクが、この島の中で一番おいしいんですの、と付け加えることを忘れません。

「ところで機関長、なぜここに?」
ココナッツミルクのストローに口をつけながらたずねるヒーゲル先生に、
「船長たちの情報収集が思ったほど進まないので、これから浮きガス研究所にも足を伸ばそうかと思って」
と、リカ機関長はこれまでの経緯を説明しました。

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2011年2月14日 (月)

69-成果なし。

「いやあ、まいりました。
聞き込みの成果がないうえに、会話のテンポがまるで合わず、疲れました」
カケローニ先生は食糧の積み込みを終えてから、発着場周辺の通りなどでも聞き込みをしましたが、まったく成果がありませんでした。
オデッセイに戻ったカケローニ先生とピット船長、そしてリカ機関長がキャビンのイスに腰掛けながら報告をしあっています。
「船長のほうはいかがでしたか?」
「わたしも整備員以外にタワーホテルの関係者にも聞いてまわりましたが、状況は同じです」
「わたしは、以前研究で来たときお世話になった浮きガス研究所の人たちへのあいさつをかねて、これからオオミツボガズラの樹林に行ってきます。
向こうでも聞き込みをしてまいりますわ」
立ち上がりキャビンを出て行こうとする機関長をカケローニ先生が呼び止め、ビーチのこどもたちとヒーゲル先生のようすも見てきてほしいとたのみました。
「すまんことですが、なにしろわたしは島の地理に不案内で。
わたしはこのあと、地理のわかるこの周辺の商店街などで聞き込みをしてみようと思っとります」

69 「機関長、こどもたちにビーチで、例のココナッツミルクをご馳走してあげてはいかがかな?
ついでに、自然の中の浮きガスの樹を見せてやったら大いに喜ぶと思うが」
ピット船長からココナッツミルクと聞いて、機関長の目が一回り大きくなりました。
「カケローニ先生、かまわないでしょう?
オオミツボガズラの樹林見学も」
「もちろんです。
わたしも船長に、その許可をお願いしたいと思っとったところです。
リカ機関長、ひとつよろしくお願いします」
〈ただし、こどもたちにはまだ“あのこと”は知られないように〉と船長は念を押し、機関長を見送りました。

「飛行船の点検整備が完全に終わるまで、わたしはここを離れるわけにはいかないので、カケローニ先生、ご苦労をおかけしますが、街での聞き込み、よろしくお願いします」
ピット船長はカケローニ先生を送り出したあと、〈あとはワタリノフ君からの情報だけだ〉と、彼の帰りを待ちました。

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2011年2月11日 (金)

68-の~んびりとした島。

「みんな久しぶりの地上だから、ゆっくり楽しんでくればいいぞ。
もし泳ぎたければそれもよし。
でも遊泳禁止区域には行かんようにな。
それとあまり岸を離れちゃだめだ。
海は里山の池や川とはまったく違うからな」
心配顔のカケローニ先生は、ヒーゲル先生にも
「ではくれぐれもこどもたちをよろしくお願いします。
夕方からの“浮きガス祭り”の見学に間に合うようにお帰りください。
自分が引率できなくて申しわけないことです」
と頭を下げています。

海岸までは、ワタリノフ航海士が飛びながら空の上から誘導してくれたおかげで、迷わず行くことができました。
「じゃあみんな、自分は急いで任務に戻るけど、休暇を楽しんでくれたまえ。
夕方にまた会おう」
ウインクしながら飛行船発着場のほうに飛び去っていくワタリノフ航海士に、みんなで大きく手をふって別れました。

「ワタリノフ君はそのまま情報収集に向かったので、われわれも予定どおり行動開始だ」
ピット船長はカケローニ先生に食糧補給を頼んでから、飛行船の周りに集まっている整備の人たちに、きびきびと点検箇所の指示をしています。
指示を聞いているマーレイバクやマングラップサイの整備士たちは、どこかおっとりしているように見えますが、整備手帳を見ながら一生懸命メモをとっています。

68 「オデッセイの初飛行、おめでとうございます。
いまある飛行船の中では最新型なんで、み~んな楽しみに待ってたんですよ。
特に気になった箇所はありますかぁ?」
話し方はとてものんびりしています。
ピット船長は2年ぶりに会った整備士の人たちと握手を交わしながら、
「右舷の舵輪の動きがが少し硬いようだね。
それと4階ガスドーム左舷前方にある、浮きガスの調整弁もみてくれないか。
いま3階で機関長が浮きガスの樹の点検をしているから、詳しくは現場で説明を聞いてくれたまえ」
〈わっかりましたぁ〉と船長に敬礼し、整備したちはそれぞれ担当するところにゆったりとした足どりで向かっていきました。

ピット船長は、ガスドームに向かう整備責任者を呼び止め、最近このあたりで何か変わったことはないかたずねてみましたが、整備責任者は
「この島周辺は、たぁ~いへん平和で、の~んびりしたところです。
訪れる人たちはみ~んな、しばしの骨休めをしたり、島の観光をしたりして、すこぶるくつろいだ気分で過ごしていますよ。
特にきょうからは浮きガス祭りだから、オデッセイの乗員乗客の人たちも、滞在中はど~ぞ、ゆ~ったりとしてお過ごしください」
と笑顔で応えて去っていきました。

いま緊急事態に直面しているピット船長は、この島ののんびりムードに調子が狂いそうですが、本当はこういう生き方や生活のリズムのほうが、健康的でからだや心にもよさそうだということがわかっているので、ちょっとうらやましくも感じています。
また、発着場シンボルタワーの中にある食糧倉庫では、カケローニ先生も食料保管係の人たちに同じようにたずねてまわりましたが、やはり気になることは何も聞きだすことはできませんでした。
せっかちなカケローニ先生も、情報が得られなかったことよりも、食料保管係の人たちのゆっくりとしたテンポにずいぶん苦労したようです。

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2011年2月 9日 (水)

67-着陸。

「下がずいぶんとにぎやかになっているな」
ピット船長が舵輪(ハンドル)を操作しながらつぶやきました。
「こどもたちにとっては初めてのことですからね」
というワタリノフ航海士に船長は、
「島のようすだよ。
きょうから始まる祭りのための飾り付けや、屋台がびっしり並んでるだろ。
祭りの時期に来たのは今回が初めてでね。
ワタリノフ君は?」
「自分が飛行船乗りになる前は、ほんの“翼やすめ”としてですが、渡りの途中で何度か立ち寄りました。
でも、いつも祭りの時季をはずしていました。混みあいますので。
航海士としては2年前にピット船長とご一緒したときが初めてです」
「アメリアのゴールデンイーグル号に乗っていたときだね」
「あの時は台風にあってさんざんでした。
今回もある意味では“台風接近”となりそうな雲行きで、気が重いですね」
二人は話しながらも窓の外を注意深く確認し、舵輪とレバーを慎重に操作しています。

「船長はこの島には詳しいのですか?
着陸後の情報収集の参考にしたいのですが」
「わたしは航海士時代も含めて10回くらいはこの島に立ち寄っているが、たいていは発着場内のホテルに宿泊するので、街や村のようすには不案内なんだよ。
むしろリカ機関長のほうが詳しいんじゃないかな?
来たのが4年前とはいえ、研究のため1年間この島で暮らしたって言ってたから」
「わかりました。あとで細かく教えてもらうことにします。

「プラットホーム着地点ほぼ中央、ゼロ地点まで5エダット・・・4エダット・・。
誤差修正、左舷移動40ハッパス」
ワタリノフ航海士の観測に従い、ピット船長がレバーを細かく動かしながら、飛行船を着地点の中心にぴたりと入れました。

67 「そうそう、リカ機関長から聞いたんだが、ビーチの売店で売っているココナッツミルクが最高にうまいんだそうだ。
〈発着場からわざわざ歩いて出かけてでも飲む価値があるオススメの一品〉と力説してたので、ワタリノフ君も飲んでおきたまえ。
あとできっと感想を聞かれるから」

「覚えておきます・・・。
ゼロ地点まで1エダット、50ハッパス・・30ハッパス・・」
オデッセイは少しもゆれることなく、そして衝撃もなく静かにプラットホームに降り立ちました。
「着地完了」
ふーっと大きく息を吐いてピット船長がレバーと舵輪から手を離すと、ワタリノフ航海士は、
「いつもながら船長の着地操作はみごとです。
乗客も窓の外を見ていなければ、地上に着いたとは気づかないほどですよ。
お疲れさまでした」
とその腕前に感心しながら労をねぎらいました。
「ワタリノフ君こそご苦労だった。
君の観測誘導のおかげだ」
実際ワタリノフ航海士の感覚はとても鋭く、同じ渡り族の仲間からも一目を置かれています。
「さあ、キャビンへ急ごう。
こどもたちを見送ったあとの仕事が待っている。
忙しくなるぞ」
二人は揃って操舵席を離れました。
そしてココナッツミルクのことも、ワタリノフ航海士の記憶から離れてしまいました。

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2011年2月 4日 (金)

66-マング・ラプス・ノムカ。

この海域の古代語で「精霊たちの宴(うたげ)の場」という意味のマング・ラプス・ノムカ。
〈それがこの島の名前の由来よ〉と、リカ機関長が説明してくれました。
飛行船の浮力の素、浮きガスの樹の調査と研究のために、4年前船でこの島に来たとき、島の研究員から教わったのだそうです。
浮きガスの樹、オオミツボカズラはこの島周辺だけにしかない、大変めずらしく貴重な植物です。

マングラップ島飛行船発着場は、島の密林から少し離れた、西側の海岸近くのなだらかな丘の上にあります。
発着場の周囲に植えられた何本ものやしの木の中で、ひときわ目を引く高くそびえるやしの木、マングラップオオドックリ。
それが発着場のシンボルタワーです。
丘の海側は切り立ったがけになっていて、海面からの高さはおよそ20エダットはありそうです。
波ががけに当たって砕け、白いしぶきが高く上がっているようすが窓越しにはっきりわかる高さまで、オデッセイは降りてきました。

66 きょうから4日間、マングラップ島では毎年恒例の“浮きガス祭り”も開かれます。
4日の間、島では祭りの記念行事が盛大に行われるため、世界中から集まるたくさんの人たちでにぎわいます。
港にはもうたくさんの帆船が停泊し、飛行船の発着場にも数台の飛行船が停まっているようすが見え始めました。
「うわー、変わった植物や林が広がってる!」
「発着場の周りに大勢人が出てるぞ」
「楽隊の行進やダンスをしてる人たちもいるよ!」
「この島であしたの午後まで過ごせるなんて最高だわ!」
コロンが窓に顔をつけ、下をのぞきこみながらこうふん気味に叫んでいます。
マホロバニカとはまったく違う風景に、だれもが驚いています。

カケローニ先生もこどもたちと一緒になって騒ぎたいのですが、これから現れるかもしれないならず者のことが気がかりで、なかなか陽気にはふるまえません。
〈夕方にはこどもたちをつれて、みんなでまつり見物に出かけんといかん。
なんとかそれまでにいい情報が手に入ればいいがな・・・・〉
そんなことをついつい考えて気が気ではありません。
でも、こどもたちは初めて見る風景にこうふんしているので、カケローニ先生のそんなようすには気づいていないようです。

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2011年2月 2日 (水)

65-オデッセイ、降下開始。

「船長、そろそろです」
ワタリノフ航海士が前方を指しました。
「うむ。オデッセイ降下準備」
「了解。オデッセイ、降下準備よし」
「これより本船は、マングラップ島飛行船プラットホームに向け降下を開始する」
ピット船長が操舵席横のレバーを少し倒すと、オデッセイ号の先端、ペンギンの口が少し開きました。
そこから空気を取り込み、4階のガスドームに送るためです。
ガスドームの天井にある排気口も開けられました。
充満していた浮きガスが空気で少しずつ薄められていき、飛行船は徐々に高度を下げ始めました。

ランチセットを持ち、飛行船を降りる準備が整ったこどもたちと、カケローニ先生、ヒーゲル先生、リカ機関長はキャビンに集まって、近づいてくる島の姿を窓からながめています。
ヒーゲル先生は見慣れた白衣ではなく、あでやかなシャツを着て現れたのでこどもたちに冷やかされてちょっと恥ずかしそうです。
でもリカ機関長が
「あら、とってもお似合いですわよ」
と助け舟を出してくれました。
65 「そおかね。ちとハデすぎやせんか?」
「いいえ、ちっとも。
とても若々しくてステキですわ」
「ありがとう、機関長」
とお礼を言い、こどもたちに向かって、
「きょうはわしがおまえたちの面倒をみにゃならんので、てまをかけるでないぞ」
と、シャツのすそを下に引っ張りながら少し胸をそらしました。

「白ヒゲ先生、ぼくらは最初からとても似合うと思ってました。
若さがあふれているようで。
先生、飛行船を降りたらビーチまで、どっちが勝つかかけっこしてください」
ハーネルがニコニコしながらヒーゲル先生に勝負をもちかけてきました。
〈う~む〉と白いヒゲをなでながら考え込もうとするヒーゲル先生に向かって、カケローニ先生が
「ヒーゲル先生、そんなことで真剣に考え込まんでください。
おそらくこいつらの悪巧みですから。
こいつらに乗せられんようにしてくださいよ」
と、トビーとハーネルの後ろに回って二人の頭を手で押さえました。
トビーが迷惑顔で
「せ、先生!ぼくは何も言ってませんよぉ。
ハーネル、たのむからおれを巻き込むのはやめてくれ!」

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