66-マング・ラプス・ノムカ。
この海域の古代語で「精霊たちの宴(うたげ)の場」という意味のマング・ラプス・ノムカ。
〈それがこの島の名前の由来よ〉と、リカ機関長が説明してくれました。
飛行船の浮力の素、浮きガスの樹の調査と研究のために、4年前船でこの島に来たとき、島の研究員から教わったのだそうです。
浮きガスの樹、オオミツボカズラはこの島周辺だけにしかない、大変めずらしく貴重な植物です。
マングラップ島飛行船発着場は、島の密林から少し離れた、西側の海岸近くのなだらかな丘の上にあります。
発着場の周囲に植えられた何本ものやしの木の中で、ひときわ目を引く高くそびえるやしの木、マングラップオオドックリ。
それが発着場のシンボルタワーです。
丘の海側は切り立ったがけになっていて、海面からの高さはおよそ20エダットはありそうです。
波ががけに当たって砕け、白いしぶきが高く上がっているようすが窓越しにはっきりわかる高さまで、オデッセイは降りてきました。
きょうから4日間、マングラップ島では毎年恒例の“浮きガス祭り”も開かれます。
4日の間、島では祭りの記念行事が盛大に行われるため、世界中から集まるたくさんの人たちでにぎわいます。
港にはもうたくさんの帆船が停泊し、飛行船の発着場にも数台の飛行船が停まっているようすが見え始めました。
「うわー、変わった植物や林が広がってる!」
「発着場の周りに大勢人が出てるぞ」
「楽隊の行進やダンスをしてる人たちもいるよ!」
「この島であしたの午後まで過ごせるなんて最高だわ!」
コロンが窓に顔をつけ、下をのぞきこみながらこうふん気味に叫んでいます。
マホロバニカとはまったく違う風景に、だれもが驚いています。
カケローニ先生もこどもたちと一緒になって騒ぎたいのですが、これから現れるかもしれないならず者のことが気がかりで、なかなか陽気にはふるまえません。
〈夕方にはこどもたちをつれて、みんなでまつり見物に出かけんといかん。
なんとかそれまでにいい情報が手に入ればいいがな・・・・〉
そんなことをついつい考えて気が気ではありません。
でも、こどもたちは初めて見る風景にこうふんしているので、カケローニ先生のそんなようすには気づいていないようです。
| 固定リンク
「A. 連載童話」カテゴリの記事
- 86-耳の活躍。(2011.07.07)
- 85-好奇心。(2011.05.25)
- 84-ラムラム諸島。(2011.05.18)
- 83-王子?。(2011.05.13)
- 82-ラムネド。(2011.05.09)
この記事へのコメントは終了しました。
コメント
こんばんは(*゚▽゚)ノ
冒険教室は、どこまでも細部まで構築されていて矛盾もなく凄いですね。。。
特に前半の辺りは感動です。
マングラップオオドックリというシンボルタワーまであって、マングラップ島はとても陽気な暖かい島ですね!文章から、島の様子や子供達のウキウキする気持ちが伝わってきます。
前回の、ヒーゲル先生みたいなシャツが着たいって・・・

三浦先生の場合はハンサムだから何着ても似合うので幸せです!!
投稿: ナカムラ | 2011年2月 4日 (金) 18時03分
こんばんは。
ストーリーの構築でかなりしんどくなってきました。
綱渡りです・・・。
マングラップ島は、おそらくこの星で言う赤道近くじゃないかと想像しています。
多分、ですが。
・・・ありがたく、素直に喜んでおきます・・・・(*´ェ`*)
投稿: ミム | 2011年2月 4日 (金) 22時46分