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2011年2月 2日 (水)

65-オデッセイ、降下開始。

「船長、そろそろです」
ワタリノフ航海士が前方を指しました。
「うむ。オデッセイ降下準備」
「了解。オデッセイ、降下準備よし」
「これより本船は、マングラップ島飛行船プラットホームに向け降下を開始する」
ピット船長が操舵席横のレバーを少し倒すと、オデッセイ号の先端、ペンギンの口が少し開きました。
そこから空気を取り込み、4階のガスドームに送るためです。
ガスドームの天井にある排気口も開けられました。
充満していた浮きガスが空気で少しずつ薄められていき、飛行船は徐々に高度を下げ始めました。

ランチセットを持ち、飛行船を降りる準備が整ったこどもたちと、カケローニ先生、ヒーゲル先生、リカ機関長はキャビンに集まって、近づいてくる島の姿を窓からながめています。
ヒーゲル先生は見慣れた白衣ではなく、あでやかなシャツを着て現れたのでこどもたちに冷やかされてちょっと恥ずかしそうです。
でもリカ機関長が
「あら、とってもお似合いですわよ」
と助け舟を出してくれました。
65 「そおかね。ちとハデすぎやせんか?」
「いいえ、ちっとも。
とても若々しくてステキですわ」
「ありがとう、機関長」
とお礼を言い、こどもたちに向かって、
「きょうはわしがおまえたちの面倒をみにゃならんので、てまをかけるでないぞ」
と、シャツのすそを下に引っ張りながら少し胸をそらしました。

「白ヒゲ先生、ぼくらは最初からとても似合うと思ってました。
若さがあふれているようで。
先生、飛行船を降りたらビーチまで、どっちが勝つかかけっこしてください」
ハーネルがニコニコしながらヒーゲル先生に勝負をもちかけてきました。
〈う~む〉と白いヒゲをなでながら考え込もうとするヒーゲル先生に向かって、カケローニ先生が
「ヒーゲル先生、そんなことで真剣に考え込まんでください。
おそらくこいつらの悪巧みですから。
こいつらに乗せられんようにしてくださいよ」
と、トビーとハーネルの後ろに回って二人の頭を手で押さえました。
トビーが迷惑顔で
「せ、先生!ぼくは何も言ってませんよぉ。
ハーネル、たのむからおれを巻き込むのはやめてくれ!」

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コメント

こんばんは(゚▽゚*)

何かもう、ハーネルは思ってることを全部やる少年ですね。喜怒哀楽が全部顔に出るタイプ。

長谷川町子さんの世界でいうカツオですか? あ・・でも、カツオはモテないからちょっと違いますね。ハーネルはカッコイイから。
彼はヒーゲル先生を走らせようとして、何を企んでいたのでしょう?

ヒーゲル先生のシャツ姿が可愛いですね

投稿: ナカムラ | 2011年2月 2日 (水) 17時49分

こんばんは。

わかりやすいでしょ。ハーネル君は。
誰もがみんな彼のようなら、世の中が平和だと思います。
周りは多少(?)ふりまわされますが・・・。
カツオ君です。(告白すれば)

わたしも年をとったら、ヒーゲル先生のようなシャツを着てみたいものです。

投稿: ミム | 2011年2月 2日 (水) 22時17分

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