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2011年1月

2011年1月31日 (月)

64-ビーチでランチ。

「これまで順調に飛行を続けたので、きょうのお昼前には予定どおり、最初の寄港地マングラップ島に到着できそうだ」
カケローニ先生の言葉を聞いて、たれ下がっているトビーとハーネルの耳が少し上がりました。
「2限目からは授業をやめにして、下船の準備をすることにする」
トビーとハーネルの耳がさらに上がりました。
「昼食は食堂でとっとる時間がないんで、これからみんなでお弁当を作って、島に着いたらビーチでランチタイムだぞ!」
トビーとハーネルの耳は完全に元のように立ち上がっています。
横で見ているユキやコロン、チュチュたちは笑いをこらえています。
「君たちわかりやすいね・・・」
とポンゴがぼそっと声に出して言ったので、キャビンに笑い声が響き、こどもたちは完全に試験の緊張が解けたようでした。
笑いの対象となった二人はポンゴをちょっとにらみましたが、肩をすくめながら
「何ごともわかりやすく、ってのがムーン家のモットーなんでね」
「そう、陰日なたなく生きてんだから、おれたちは」
とみんなに向かって胸を張りました。
ようやく二人にユーモアが戻ってきました。

64 「寄港の目的は食料の補充、浮きガスの樹の点検、それからこのオデッセイそのものの整備だから、わたしたち大人はそれぞれの作業を手分けしてやらんといかん。
ヒーゲル先生が君たちとビーチに行くことになっとるから、面倒をかけんようにな」
カケローニ先生が、本人たちに気づかれないようトビーとハーネル、コンラッドのほうをさりげなく見たのをユキが気づき、
「だいじょうぶです。わたしがついていますから」
と返事をしました。

「キャビン前方の窓からマングラップ島が小さく見えたぞ」
「久しぶりの地上ね」
「早く地面の上を飛び跳ねたいな」
「そう、ふわふわ揺れない大地をね」
「海も楽しみ! だってわたし海に近づくの初めてなんだもん」
厨房でこどもたちが、マングラップ島での自由時間に期待をよせてにぎやかに昼食用のお弁当を作っているころ、カケローニ先生は船長たちと、島に着いたあとのことについて最後の打ち合わせをしていました。

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2011年1月28日 (金)

63-計算盤の試験。

「・・・125ドングルなーり、5,600ドングルなーり、385ドングルなーり、1,800ドングルでは」
カケローニ先生は最後の読み上げ算の数字を言い終わり、こ.どもたちを見渡しました。
「今の答えを最後の欄に書いたら、もう一度自分の名前がちゃんと書いてあるかを確かめて提出すること」

1限目の授業は予定どおり計算盤の試験が行われました。
苦手な算数の、特に計算盤が大の苦手なトビーとハーネルは、浮かない顔をして立ち上がりました。
「どうだった、ハーネル?」
「おれに聞くなよ。わかってるだろ? トビー」
「だよな」
答案用紙をカケローニ先生に渡し、力なく席に戻る二人とすれ違うとき、コンラッドがにやりと笑いかけました。
コンラッドは自信ありげです。
トビーがよくみるとほかの子たちも、なんだかみんな自身ありげのようなので、ますます気持ちが沈んできました。
「ちょっとあんたたち、二人とも耳がたれ下がってるじゃない。
だらしなく見えるわよ!」
とユキは二人の背中を、バシッとたたきました。
「シャンとしなさいよ」
「ユキ、おまえ・・・」
「何?キャプテン、なんか言いたいことある?」
「いえ、ありません・・・」
63 黙るハーネルに代わってトビーが
「なあ、きのう船内演奏会の話であんなに盛り上がってたのに、なんでみんな計算盤の試験、そんなにスムーズにやれちゃうの?」
とユキに聞きました。
「何言ってんのよ。
冒険授業に出発する前に担任のクリス先生から、試験のことは説明があったじゃない。
ちゃんと予習しとけよって。
聞いてなかったの?・・・・なかったみたいね」

「あ、あの・・あたいも計算盤の試験、ちょっと自信なかとよ。
あたいが前にいた学校では、計算盤は中等クラスに入ってから習うんで、こっちへ来てびっくりしたんよ」
コトがニコニコしながら後ろに立っていました。
「仲間がおって安心したばってん。
あんまり気にせんほうがよかよ」
「コト、なんかあんまり嬉しくないなぐさめだけど、あ、ありがとう・・・」
トビーは力なく笑ってハーネルと顔を見合わせました。

「なんでんなか。次はきばったらよかよ」
コトはそれだけ言うとくるっと回って席に戻っていきました。
「あいつ、けっこう大物かもな」
と感心していると、カケローニ先生のせきばらいが聞こえ、全員席に着くようにと声がかかりました。

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2011年1月26日 (水)

62-夕映え。

「もし襲ってくるとしたら、おそらく新しい食料なんかを積み込んだあとじゃろうな」
「ええ、わたしもそう思います」
「じゃとすると、最初の寄港地でどれだけの準備ができるかじゃな」
「何か準備をするとして、一体どんな準備をしたらいいのかしら?」
みんなの声に少し緊張が戻ってきました。

「あすの午前中には最初の寄港地に着きます。
そこで何か新しい情報が手に入るかもしれません。
自分たち鳥族の通信員や集配員が、毎日行き来していますから」
ワタリノフ航海士はあす、寄港地に到着しだい情報集めに出かけますと言って、操舵席前の窓から空をながめました。
航海士の席に座っているリカ機関長も、このとき初めて気づいたように窓の外をながめました。

見上げれば空の上は濃いむらさき色に変わり、海に近づくにしたがって赤むらさき色、だいだい色、そして輝くような黄色に染まっていました。
そして見下ろす海はその空を逆さにしたように色づき、お互いの境めの区別がつかないほどです。

「どうかしたかね? ワタリノフ君」
「いえ、とても穏やかなながめだなと思いまして。
この空で何か良くないことがおきるなんて。
とてもそんなふうに見えんのです」
「本当ですわ・・・」
リカ機関長も、窓の外に広がる空と海とで奏でる色彩の調べにうっとりとなっています。
ヒーゲル先生とカケローニ先生も操舵席に近づき、窓の外をのぞきこみました。

62 少しのあいだピット船長も、心が洗われるような思いでながめていましたが、ヒーゲル先生が観測用のイスを離れたので、ワタリノフ航海士に
「定時観測」
と声をかけました。
するとワタリノフ航海士はすばやく観測用のイスに腰かけ、イスを天井近くまで上げました。
それから天井の観測用ハッチを押し上げ、一面こがね色に染まった空の中に顔を突き出しました。
そして強い風をくちばしとほっぺたに受けながら、下にいるピット船長に伝えます。
「ボルチオ海上空、高度1000エダット、風速第4レベル。
現在、ソラマメ諸島上空を時速140ミキロで航行中。
進路前方、障害物なし。以上」
「了解。ご苦労」
ワタリノフ航海士は観測報告をし終わってもしばらくそこを離れないで、外の光景をながめていました。

お日さまは、すでに飛行船の下側を照らし始めています。
こがね色に染まりながらオデッセイ号は最初の寄港地、マングラップ島に向け飛び続けます。

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2011年1月24日 (月)

61-初心者?

ふたたび船長が続けます。
「通常、実習目的の船が襲われるなんてことはありません。
先ほども言ったように積荷にさほど価値がないですから」
「労多くして益少なし、じゃな」
「そのとおりです、ヒーゲル先生。
これまで空での盗賊行為はまだ一度も確認されていません。
おそらく飛行船の時代に入って間もないからでしょう。
したがって空の警備計画もまだほとんど進んでいません」

ちょっと間をおいて船長はさらに続けました。
「ならず者の側から考えてみたんです。
いよいよそのときが来たとして、これから盗賊行為の実践を始めるにあたり、まず何をしたらよいかを」
「わかりましたわ。
先ほどのカケローニ先生の話の場合と同じで、手ならしのために襲いやすい船を選んで現場実習をする!」
ワタリノフ航海士にからかわれてからずっと黙って聞いていたリカ機関長が、ようやく口をききました。
61l 「そこに運良くこどもたちばかりの乗った飛行船計画書が手に入った」
「またまた機関長、“運良く”はないでしょう」
カケローニ先生、今度もリカ機関長の発言に食いついています。
「あら、これは船長に習って、ならず者の側に立って考察してみたんですわ」
と、ウインクしながら今度は機関長、胸を張っています。

「正体はともかく、相手はまだ盗賊初心者ってことですかね、船長」
と、ワタリノフ航海士。
「断言はできんが、空においてはまだ実績がないからね。
少なくともベテランとは呼べないだろうな」
「な~んだ、そんなに心配せんでもよかったのか」
ここにきてカケローニ先生は本来の楽天家に戻ってしまいそうです。
あわてて船長が
「先生、そう簡単に安心してもらっては困ります!」
とたしなめ、
「こちらだって武器を積んでいるわけではありません。
だいいち、相手の人数、どんな形でやってくるのかは、まったく見当も付かんのですよ」
「や、わたしとしたことが・・・。めんぼくない」
カケローニ先生は大きなからだを一生懸命縮めています。

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2011年1月21日 (金)

60-なごみ系の人。

操舵室の空気が少し軽くなりました。
もちろんそれは、浮きガスが漏れてきたからではありません。
むつかしい問題を解決していくためには心に余裕がなくてはなりません。
こういうとき“ユーモア”がとても役に立ちます。
カケローニ先生やリカ機関長の会話がこの場の雰囲気を明るくしてくれました。

「確かにカケローニ君はムードメーカーとしても勤めをはたしておる・・・」
ヒーゲル先生は、つくづくブライトン校長の人選に感心せずにはいられませんでした。
ただしカケローニ先生は世間で言うところの“天然”らしいので、本人はいたってまじめに話をしているつもりでいます。

「結局のところ、わたしの体験談は参考になったんでありますか、船長?」
「ええ、ありがとうございましたカケローニ先生。
おかげで少し明るくなってきました」
「そのようじゃのう船長」
ヒーゲル先生もうなずいています。
60 「すると今度もカラスとイタチがやってくるんですね?」
カケローニ先生は、今度こそ頭をつつかれないように退治してやるぞと言わんばかりに、左手で頭をおおいながら右手で棒を振り回すような動作をしています。
ピット船長は苦笑いをしながら、
「いやいや、相手の正体はまだわかりません。
これはあくまでわたしの推測ですが」
と前置きをして船長は続けました。

「今回の飛行計画は、飛行船協会を通じて世界中の寄港地に知らせてあることはご存知でしょう。
食料の補給や浮きガスの樹の点検、飛行船全体の整備なんかをするためです。
その飛行航路計画書にしたがって、世界郵便協会のほうも対応してくれています」
「その計画書が流出したんですね」
と気の早いカケローニ先生に、ワタリノフ航海士が船長に代わって答えました。
「特別な秘密の飛行でないかぎり、“誰もが”“必要とあれば”その計画書を見ることができるんですよ。
特に貨物飛行船だと、いろんなところからの集配荷物を積み込んでいるんで」
「はぁ、なるほど・・・」
と、少し気抜けしたカケローニ先生です。

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2011年1月19日 (水)

59-略奪訓練。

「食糧不足だったころ、陸地でもよその里山の畑を荒らしたり、食料の盗難がよくありましたわ。
わたしの家の畑も何度か被害にあったから、父や兄とよく畑を見回りましたもの」
とリカ機関長もそのころのことを思い出していました。

ピット船長も空中をにらみながらしばらく考え込んでいましたが、
「カケローニ先生の話を整理すると、その襲撃はどうも訓練だったように思われますね」
と言いました。
「いやいや、わたしたちの実習訓練にはそんな項目は入っておらんかったですよ」
カケローニ先生は心外だな、というような顔をして否定しました。
船長は手を左右にふりながら
「いや、そうではなくて、海賊のほうの」
「は? 海賊のほうの訓練?・・・ですか?」
カケローニ先生だけでなく、ほかのみんなも意外な顔をしました。

59 「つまりこういうことです。
食料を奪うということが目的の一つであったことはまちがいありません。
その時代の流れからしても。
しかし、本当に食料を確保したければ、積荷の少ない実習船を襲うでしょうか?
襲撃の成果が目的だとしたら、貨物運搬船を襲うほうが効率的です」

「なるほど・・・」
みんなうなずいています。
「じゃとすると」
と言うヒーゲル先生の言葉をついで、
「相手方、つまり海賊も実習船での略奪訓練中だった可能性が高い」
と、ようやくカケローニ先生も納得しました。
「陸の種族と海の種族との共同作戦がどれだけうまくいくのか、やつらなりに考えたわけですな」
「そして絶妙の連係プレーで積荷を手に入れた。
作戦大成功ですわね」
「リカ機関長、変なところで関心せんでください」
カケローニ先生、ちょっと苦い顔をしています。
「あら、ごめんなさい。
わたし、異なった種族同士の交流や協力っていうのに関心があって、ちょっと感動してしまって、つい・・・」
機関長は顔を赤らめカケローニ先生に謝っています。
「リカ機関長は生物、化学以外にも、“異種族間の社会行動学”も研究されてますからねぇ」
心に余裕ができたのでしょうか、ワタリノフ航海士が話に追い討ちをかけています。
みんなの顔には少しずつ笑顔が戻り始めています。

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2011年1月17日 (月)

58-ならず者の正体。

「10年ほど前のことです。
そう、実習訓練を終えた夕暮れ少し前、やつらは、突然襲ってきました」
と、両腕をバタバタさせたりからだを上下に揺らしたりしながら、カケローニ先生が話し出しました。
「船の甲板の上に立っている相手ならわたしたちも手が出せるんですが、何しろ頭の上から、はたいてもはたいても・・・」
身振り手振りは大きいのですが、なかなか話が先に進みません。
仕方がないのでヒーゲル先生が、いつものように白いヒゲをなでながら
「ふむ。大変じゃったの。
カケローニ君、全体その、ナンじゃ、ならず者どもの正体はなんじゃったんじゃね?」
と、みんなが一番知りたいことをたずねてくれました。
ピット船長やワタリノフ航海士もちょっとほっとした顔をしています。

「ここからがいいところなんですが・・・」
カケローニ先生としては、もう少し話したかったのですが、
「カラスたちです。
正確にはカラスとイタチ族の混合部隊でした」
「イタチ族も?」
「わたしたち乗組員がカラスたちとやり合っているあいだ・・・、まあ、やられっぱなしでしたが、そのあいだにイタチたちが、みごとに積荷を運び出していってしまったというわけです。
海上警察のパトロール船が到着したのは、それからずいぶんと経ってからです。
実習船だからたいした荷物は積んでいなかったので、それほど損害はなかったのでありますが」
いま思い出しても悔しい、と言いながらカケローニ先生はこぶしを握りしめました。

58 「海上警察もまさか実習船が襲われるなんて想像もしていなかったのでしょう。
10年ほど前といえば、気候が悪くて世界的に食料が不足していたころですね」
「ええ、食料の箱だけをまんまとやられました」
「人的被害はどうでしたか?」
船長らしく、ピット船長は乗組員そのものの安否を気にかけています。
「そこです、不思議なのは。
カラスたちは鋭いくちばしでつっつく程度、イタチたちも別段武器のようなものを持っている気配はありませんでしたし、こちらも、もちろんそんなものを積んではおらんかったので、負傷者が出るということはなかったですね。
みんな、まあ、せいぜいカラスに頭を数回つつかれてちょっと血が出たくらいでした。
わたしはカラスの爪で引っかかれたり、イタチにけとばされましたが、そんなことでひるむ私では・・・」

「よくわかりました、カケローニ先生」
話がまた横道にそれないうちに、ピット船長がカケローニ先生にたずねます。
「人的な被害がなかったのが不幸中の幸いだったようですが、今回も同じような相手でしょうか?
校長先生からの連絡には、相手の情報について何か書いてありましたか?」
「具体的なことはわからんようです。
校長の友人のフクロウ族の人が、里山地区の裏情報として、空で何か不穏な動きがあるようだと知らせてきたと書いてあるだけなんです」

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2011年1月14日 (金)

57-不吉な知らせ。(第3章のはじまり)

―――――――――――――――――――――――――――――――
これまでのあらすじ。(01-55)

市になって500年目をむかえるミノール市里山地区に暮らすコロン、チュチュ、トビーとハーネルたちは、500周年を記念して造られた飛行船オデッセイ号に乗り、南極のペンギン村まで冒険授業に出発しました。
飛行船内では炊事をしながら通常授業のほか、乗組員補佐として船内実習をしたりして、
さまざまな未知の体験を楽しみながら過ごしてきましたが、出発から10日ほどたったころ、何ごともなかった日常にいろんな意味で少し変化が起きようとしています。
―――――――――――――――――――――――――――――――

「まさか空の上でも本当にそんなことがおきるんですの?」
リカ機関長の少しふるえた声が、しばらく続いた沈黙をやぶりました。
操舵室では船長以下4人の大人たちが、先ほどスイーティア集配員が持ってきた“重要な知らせ”について話し合っています。

リカ機関長はワタリノフ航海士から副操舵席のイスをゆずられ腰かけていますが、初めての操舵席を楽しんでいる気分ではありません。
ヒーゲル先生は部屋の中央にある観測用のイスにかけ、機関長に席をゆずったワタリノフ航海士とカケローニ先生は床に立って、ふたりともうで組みをしています。

57 「飛行船協会もそんな情報を前もって知っていたら、今度の冒険旅行に反対していたはずだ。
君は知っていたかね?」
腕組みをほどきながら、自分の操舵席に座ったピット船長がワタリノフ航海士にたずねました。
「いいえ、船長。
少なくとも自分の周りにいる鳥族の者たちからは、そんな話を聞いたこともありません。
もっとも自分はこの1年間、飛行船操舵の訓練に明け暮れていたせいで、ほかの渡りたちとあまり会う機会も少なかったんで・・・・」

「こどもたちあてとは別に、わたしあてに届いたブライトン校長からの手紙にもそれと同じようなことが書かれていたので、大変驚いとります」
カケローニ先生も心配顔です。
「わたしが船乗り学校の実習船に乗ってるとき、実はそういう事件に一度だけ巻き込まれましてね」
「本当ですか、カケローニ先生。
ぜひそのことについて詳しくお話ください」
さすがのピット船長も、まだそういう体験はありません。

「ですがそれは、帆船が行き来する海の道に“ならず者たち”が待ち受けていて、船を襲って積荷をうばうという、いわゆる“海賊”の話です」
「もちろん空では、まだそんな事件はおきてはいないが、この知らせには、かなり高い確率でそうぐうの可能性があると書いてあるんだ」
ワタリノフ航海士も
「自分たちには、まったくそういう情報が不足してます。
ぜひお話ください」
と、カケローニ先生に海賊そうぐうの話をうながしました。

操舵室全体が重苦しい空気に包まれています。

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2011年1月12日 (水)

56-第3章を前に。

キャストもずいぶん増えてきたので、このあたりで登場人物をあらためて紹介しちゃいます。

56a1司会は、わたしシロウサギの
【ユキ・イナバノーラ】がつとめるからね!
このあたりで存在感出しとかなきゃ。
まずは女子から。
ちなみにわたしは、少年ケルカーチームただひとりの女子選手。
レッドチームのゴールキーパーよ。
よろしくね。                                                       

                                         【コロン・ベリー】
モモイログマの女の子。
おじいちゃんの影響で小さいときから拳法を習ってるんだって。
わたしのライバルかも。                          

                                        【チュチュ・タワラ】
プリマバレリーナを夢見るミドリネズミの女の子。
かわいくって、とっても頑張りやさんなんだよ。

                                        【コト・ゲンネコット】
この春に学校に転向してきたばかりのサツマオコジョの女の子。
音楽家のご両親の影響で竪琴がひけるから、今度ぜひ演奏が聴きたいわ。                                                                       

                                           次からは男子よ。お待たせ。

56b1【トビー・ムーン】
キイロウサギの男の子で少年ケルカー選手。
ブルーチームのキャプテンでスキーもじょうずよ。

                                        【ハーネル・ムーン】
同じく少年ケルカー選手。
われらがレッドチームのキャプテンで、グラボ(グラスボードのことよ)のうでもなかなかのもの。
あ、トビーとは双子ね。

                                                                                 【コンラッド・イナリー】
キンギツネの男の子。
よくハーネルと口げんかしてるけど、けっこう仲はいいのよ。
歴史が好き・・みたい。多分。

                                                                                   【ポンゴ・ツヅミット】
おとなしいけど、しんの強いタヌキの男の子。
とても紳士的で、トビーやハーネルも見習いなさいよ。
ジェズドラムをやってるお父さまの影響で、ドラムをたたけるんだって。
こどものキャストは以上、女子4名、男子4名。
全員、ミノール市立中央学園、初等クラスの6年生よ。

                                                                                          次に大人のキャスト紹介に移るからついてきてね。

56c 【イシャルト・ヒーゲル】
マホロンカモシカの白ヒゲ先生。とっても腕のいいお医者さん。
中央学園の校医で、いつも冒険授業のつきそいをしてくれるわ。
オデッセイ号の中では最年長。
怖いけどとっても思慮深い人、かな。

【スタコラット・カケローニ】
学校では教務主任の、わたしたちの大好きなイノシシ先生!
お父さんみたいな人。
体育会系だけど、海洋学校では天文学を学んだそうよ。
なので、ここオデッセイでは航海士補佐をされてます。がんば。

【フワット・ピット】
われらがオデッセイ号の船長。
飛行船から飛び降りた勇姿を見てからすっかりファンになっちゃった。
白い船長帽がとっても似合うモモンガ族のイケメンです。
わたしたち女子は“フワピ”って呼んでるの。内緒だけど。

【テツヤーノ・ワタリノフ】
キョクアジサシの一等航海士。
オデッセイではただひとりの空の種族。
シャイだけど、世界の空を自分の翼で飛び、空の大河を知りつくした頼りになる人。

【リカ・ケミストン】
オデッセイでは“機関長”なんて呼ばれてるけど、本当は化学者なんですって。
ベニシカ族で、わたしたちのお姉さん的存在よ。

それ以外にもブライトン校長先生や、クルミスキー市長さんもいらっしゃるけど、今はオデッセイのオールキャストだけにしとくわね。
以上よ。

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2011年1月10日 (月)

55-みんなで8名。

「ちょっと、あんたたち!
もうひとり誰かさんを忘れてんじゃない!?」
怒りのこもった声の主シロウサギのユキ・イナバノーラは、ちっとも自分の出番がないことにとても腹を立てていたようで、赤い目をいっそう真っ赤にしてみんなをにらんでいます。

「飛行船で出発してからこの10日間、いったいいつになったらわたしのセリフがあるのかと思ってたけど、コトもわたしも、ただの一度もなかったじゃない!
姿が出るって思ったら、後姿がチラッと。
コトはさっきようやく光が当たったみたいだけど・・・。
ハーネル!」
「は、はい・・・」
55 「いったいどういうこと?」
「えっ? おれ? な、何で?」
「何でって、あんたとわたしは同じケルカーチームでしょうが。
レッドチーム唯一の女子選手にして、天才GKのわたしが何で忘れられてんのよ!
あんたキャプテンでしょ。
しっかりしてくれなきゃ困るわ。
ぜんぜん盛り上がってないじゃん、まったくもう!!」

「わ、わかったよ。以後気をつけるから・・・・。
って、何でおれがあやまるんだ?
おい、トビー、おまえもなんか言ってくれ」
「ごめんな、ユキ。みんなこいつが悪いんだ。
許してやってくれ。
おれのシュートを止められるのはおまえくらいのものだから」
「おいおい、何言ってんだおまえ。意味わかんないし。
とにかく本命登場ってことで、かんべんしてよぉー」

これからは「冒険教室のクラスメイト8名みんなで物語を盛り上げる」ということで、話は落ち着きました。

第2章、完。

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2011年1月 7日 (金)

54-楽器仲間。

「・・・あたいの父さんと母さんは旅の演奏家なん。
・・・そいでしばらくミノール市におっこてなったから、音楽祭で演奏すっこてなったん。
・・・あたいは父さん母さんの演奏が聞きたかったんよ」

「校長先生の手紙に書いてあるよ。
父さんがバイオリンで、母さんがピアノを演奏するんだね。
組曲“里山の一夜”の演奏で、特にゲンネコット夫妻のピアノとバイオリンがすばらしかったって」
ポンゴが手紙のその部分を指差しながら、ほかの子たちにも見せてあげました。

54 「ぼくの父さんも楽器をやってるんだよ。
“ジェズ”のドラム」
「・・・じゃポンゴの父さんも演奏会に参加してたん?」
「うん、そのためにほとんど毎晩、バンド仲間と集まって練習してたから。
ぼくも父さんから習って、少したたけるんだよ。
君は何か楽器やってるの?」
「・・・あたいはハープ。
・・・練習用の小さな竪琴をもってきたん。
・・・でも恥ずかしくてここでは一度も弾いてなか・・・」

「わあ、聴きたいわ!」
チュチュが身を乗り出しました。
「げんね(はずかしい)・・・」
「そうだ、ポンゴ。
今度船内演奏会をやってくれよ。
おまえもドラム持ってきてんだろ。知ってるぜ。
なくったっておまえは自分の腹でもたたいてさ」
ハーネルも乗り気のようです。
「それ、いいわね。ぜひやろうよ」
コロンも乗り気です。
「腹をたたくのが?」
「そうじゃなくって、ちゃんと楽器でよ。
いいでしょ、コト?」
「げんね・・・」
「だいじょうぶよ。
そうと決まれば、この自習時間を使ってもっと計画をねりましょう!」
「何の根拠の“だいじょうぶよ”なんだ?」
最後のはハーネルのひとり言です。

カケローニ先生の思わくとは少し違ったようですが、こどもたちに少し活気が出てきたことは確かなようです。

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2011年1月 5日 (水)

53-恥ずかしがりやのコト。

「あたいも、音楽祭で演奏聴きたかったぁ・・・」
「は?」
みんないっせいにその声の主の方を振り向きました。

「コトがしゃべった・・・・」
とハーネルが驚いています。
正確には男の子たち全員が、初めて聞いたかもしれないその女の子の声に驚いているようすです。
「コロン、おまえ彼女の声知ってた?」
と、ひそひそ声でトビー。
「ちょっと、失礼よ。
もちろん知ってるわ。同じ部屋なんだから。
まぁあまりたくさん話したことはないけど・・・」
と、同じくコロンも小声で答えました。

コトはこの春に転校してきたばかりで、ほかのこどもたちとあまり・・・ほとんど話したことがありません。

53 「あ、あの・・」
トビーがコトに何か言おうとしていますが、コトのほうも
「あ、あの・・」
と、顔を真っ赤にするばかりで言葉になりません。
見かねたチュチュが、トビーやほかの男の子たちに向かって
「彼女はサツマオコジョのコト・ゲンネコットよ」
と紹介し、今度はコトに向かって
「だぁいじょうぶ、あのこたちは噛み付きはしないわ。
安心して話しなさいよ」
と、うながしました。
「おいおい、おれたちって何者?
これでもれっきとした草食系なんだけど。
なあハーネル。」
「ニンジン命、だよな、トビー。
だいいち、名前、知ってるし」

「くすっ」
コトが少し笑いました。

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2011年1月 3日 (月)

2011年、明けましておめでとうございます。

観察日記のその後。

こんなコーナーを待っている人がいるとも思えず、観察日記を休んでいました。
このところ連載童話掲載にほぼ特化していたせいもありますが、
サトイモやサツマイモのその後の経過を一応記録しておこうと思います。

1. サトイモ
そもそもこのブログ立ち上げの第1記事がこのサトイモでした。
ブログ初心者が手探りで始めたため、思い入れもあるのですが、
昨年夏についに最後のときを迎えました。
11010301 これは現在(2011.01.03)の状態です。
イモは干からび、中はほとんど空洞化しています。

2. サツマイモ
11010302 見附島と名付けたイモは昨年12月、すべての葉を落とし、現在(2011.01.03)水盤に水の補給を行っていません。
ミイラ化したイモはサトイモ同様、中がほぼ中空状態です。
11010303 アシカと名付けた方は昨年秋には無事収穫祭を実施でき、一応の区切りをつけました。
それでも茎にいくらかの葉を残し頑張って生きながらえているので、完全に寿命を全うするまで見守っていこうと思います。
11010304 収穫祭のあと、第3の芋が手に入ったので芋全体を水盤に入れたところ、季節外れにもかかわらず、根をはり茎を伸ばし、現在(2011.01.03)も成長し続けています。
葉の付け根には密の滴りさえあり、その姿はいじらしいほどです。

3. セリ
1101035 一度だけ紹介したセリも、秋にはほぼ枯れてしまいましたが、
水遣りを欠かさなかったせいで、最近小さな若葉が出てきました。
こんな小さなジャムのビンの中でほぼ1年、新しい命のサイクルが始まりかけています。

4. ニンジン
1101036 本日新登場です。
昨年12月10日にニンジンの頭の部分を容器に入れたところ、現在(2011.01.03)ここまで葉が伸びてきました。
今後の観察が楽しみです。

5. キヌサヤエンドウ
1101037 これも本日新登場です。
サツマイモの収穫祭後のプランターに、昨年11月7日に種を蒔きました。
これは昨年12月23日の写真ですが、ツルが伸びて支柱やネットに絡みつき始めました。

いつかまた経過報告します。(ミム)

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