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2011年1月28日 (金)

63-計算盤の試験。

「・・・125ドングルなーり、5,600ドングルなーり、385ドングルなーり、1,800ドングルでは」
カケローニ先生は最後の読み上げ算の数字を言い終わり、こ.どもたちを見渡しました。
「今の答えを最後の欄に書いたら、もう一度自分の名前がちゃんと書いてあるかを確かめて提出すること」

1限目の授業は予定どおり計算盤の試験が行われました。
苦手な算数の、特に計算盤が大の苦手なトビーとハーネルは、浮かない顔をして立ち上がりました。
「どうだった、ハーネル?」
「おれに聞くなよ。わかってるだろ? トビー」
「だよな」
答案用紙をカケローニ先生に渡し、力なく席に戻る二人とすれ違うとき、コンラッドがにやりと笑いかけました。
コンラッドは自信ありげです。
トビーがよくみるとほかの子たちも、なんだかみんな自身ありげのようなので、ますます気持ちが沈んできました。
「ちょっとあんたたち、二人とも耳がたれ下がってるじゃない。
だらしなく見えるわよ!」
とユキは二人の背中を、バシッとたたきました。
「シャンとしなさいよ」
「ユキ、おまえ・・・」
「何?キャプテン、なんか言いたいことある?」
「いえ、ありません・・・」
63 黙るハーネルに代わってトビーが
「なあ、きのう船内演奏会の話であんなに盛り上がってたのに、なんでみんな計算盤の試験、そんなにスムーズにやれちゃうの?」
とユキに聞きました。
「何言ってんのよ。
冒険授業に出発する前に担任のクリス先生から、試験のことは説明があったじゃない。
ちゃんと予習しとけよって。
聞いてなかったの?・・・・なかったみたいね」

「あ、あの・・あたいも計算盤の試験、ちょっと自信なかとよ。
あたいが前にいた学校では、計算盤は中等クラスに入ってから習うんで、こっちへ来てびっくりしたんよ」
コトがニコニコしながら後ろに立っていました。
「仲間がおって安心したばってん。
あんまり気にせんほうがよかよ」
「コト、なんかあんまり嬉しくないなぐさめだけど、あ、ありがとう・・・」
トビーは力なく笑ってハーネルと顔を見合わせました。

「なんでんなか。次はきばったらよかよ」
コトはそれだけ言うとくるっと回って席に戻っていきました。
「あいつ、けっこう大物かもな」
と感心していると、カケローニ先生のせきばらいが聞こえ、全員席に着くようにと声がかかりました。

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コメント

こんばんは

願いましては~~・・・を思い出します。
前にも、チュチュが世界郵便協会について説明している時に、「ドングル」という言葉が出てきましたが、この世界での通貨単位ですか?

このテストはどれくらい偏差値に響くのかわからないですが、ハーネルとトビーは次回頑張れば、きっと大丈夫です!

投稿: ナカムラ | 2011年1月28日 (金) 19時01分

こんばんは。

個人的には、そろばんは悪夢でした・・・。
トビーとハーネルに痛く同情して書きました。
がんばれー!!って感じです。

ドングルはもちろん通貨単位です。
ほぼ世界共通ですが、一部地域に「クルミン」を使っているところもあるそうです。
通貨以外にもいろいろ単位が出てきますが、いずれまた用語集みたいなものを書かねば、と思っています。

投稿: ミム | 2011年1月28日 (金) 23時34分

・・・私もそろばんが悪夢でした。
全然出来なくて、メチャクチャやってました。計算すること自体が苦手だから。

また用語集が出来たら見せて下さい!

前回の黄昏の話も、その摩訶不思議な空間がどれだけ魅力的なのか凄く共感できました。何か感覚的にわかります。

今週もお疲れ様でした(・∀・)

投稿: ナカムラ | 2011年1月28日 (金) 23時51分

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