« 56-第3章を前に。 | トップページ | 58-ならず者の正体。 »

2011年1月14日 (金)

57-不吉な知らせ。(第3章のはじまり)

―――――――――――――――――――――――――――――――
これまでのあらすじ。(01-55)

市になって500年目をむかえるミノール市里山地区に暮らすコロン、チュチュ、トビーとハーネルたちは、500周年を記念して造られた飛行船オデッセイ号に乗り、南極のペンギン村まで冒険授業に出発しました。
飛行船内では炊事をしながら通常授業のほか、乗組員補佐として船内実習をしたりして、
さまざまな未知の体験を楽しみながら過ごしてきましたが、出発から10日ほどたったころ、何ごともなかった日常にいろんな意味で少し変化が起きようとしています。
―――――――――――――――――――――――――――――――

「まさか空の上でも本当にそんなことがおきるんですの?」
リカ機関長の少しふるえた声が、しばらく続いた沈黙をやぶりました。
操舵室では船長以下4人の大人たちが、先ほどスイーティア集配員が持ってきた“重要な知らせ”について話し合っています。

リカ機関長はワタリノフ航海士から副操舵席のイスをゆずられ腰かけていますが、初めての操舵席を楽しんでいる気分ではありません。
ヒーゲル先生は部屋の中央にある観測用のイスにかけ、機関長に席をゆずったワタリノフ航海士とカケローニ先生は床に立って、ふたりともうで組みをしています。

57 「飛行船協会もそんな情報を前もって知っていたら、今度の冒険旅行に反対していたはずだ。
君は知っていたかね?」
腕組みをほどきながら、自分の操舵席に座ったピット船長がワタリノフ航海士にたずねました。
「いいえ、船長。
少なくとも自分の周りにいる鳥族の者たちからは、そんな話を聞いたこともありません。
もっとも自分はこの1年間、飛行船操舵の訓練に明け暮れていたせいで、ほかの渡りたちとあまり会う機会も少なかったんで・・・・」

「こどもたちあてとは別に、わたしあてに届いたブライトン校長からの手紙にもそれと同じようなことが書かれていたので、大変驚いとります」
カケローニ先生も心配顔です。
「わたしが船乗り学校の実習船に乗ってるとき、実はそういう事件に一度だけ巻き込まれましてね」
「本当ですか、カケローニ先生。
ぜひそのことについて詳しくお話ください」
さすがのピット船長も、まだそういう体験はありません。

「ですがそれは、帆船が行き来する海の道に“ならず者たち”が待ち受けていて、船を襲って積荷をうばうという、いわゆる“海賊”の話です」
「もちろん空では、まだそんな事件はおきてはいないが、この知らせには、かなり高い確率でそうぐうの可能性があると書いてあるんだ」
ワタリノフ航海士も
「自分たちには、まったくそういう情報が不足してます。
ぜひお話ください」
と、カケローニ先生に海賊そうぐうの話をうながしました。

操舵室全体が重苦しい空気に包まれています。

|

« 56-第3章を前に。 | トップページ | 58-ならず者の正体。 »

A. 連載童話」カテゴリの記事

コメント

こんばんは(*゚▽゚)ノ

第3章の幕開けですね。
おめでとうございます!

・・・ついに新展開が起きましたね空の海賊!!
>かなり高い確率でそうぐうの可能性がある ということは・・遭遇しますね。

おだやかな時間とは仮初で
いつの時代も、人は何かと戦う宿命にあるんですね。
重苦しい第3章の幕開けですが、面白くなってきました。。。

投稿: ナカムラ | 2011年1月14日 (金) 17時48分

こんばんは。

“空”の“海”賊。
日本語はややこしいですね。
英語ならPiratesとSky Pirates(?)なのでしょうか。
日本語を字で見るとちょっと違和感、ありますよね。
空賊とでも呼んだらいいのでしょう・・・、多分。
文筆家でもないわたしのストーリーに、いつも暖かいコメントありがとうございます。
楽しんでいただけるよう頑張ります!

投稿: ミム | 2011年1月14日 (金) 23時30分

こんばんは

先生がとても頑張っているのが、小説を通して伝わってきます。本当に全力で取り組んでいることがわかります。
読んでいる私には、先生の熱い想いが確かに伝わっていますよ。
いつも何かに没頭して作品を創作できる先生がとても好きです。
これからも読ませて頂きます。

投稿: ナカムラ | 2011年1月14日 (金) 23時43分

ありがとうございます。
この上ない励みになります。

文章が書きあがっているのに、絵のほうの制作スピードが追いつかなかったり、まれにその逆もあったりで、週3回のアップロードに間に合わなくなることもあるかと思いますが、その節は気長に待ってやってください。

投稿: ミム | 2011年1月15日 (土) 14時44分

どうぞ、先生のやりやすいようにしてください。
私はいつでも待ってますよ。

お返事ありがとうございました

投稿: ナカムラ | 2011年1月15日 (土) 15時26分

おぅ!わくわくします!

実在はしないようですが、
どうやら「空賊」という言葉があるみたいですよ!
『天空の城ラピュタ』 や
『紅の豚』
等で使われているそうです。

投稿: ピライ | 2011年1月15日 (土) 16時01分

ピライさんへ。

な~るほど。
ありがとう。
もしかしたらジブリの著作権があるかもしれないと思って調べてみたら、ウィキペディアに関しては、一般名称として使用してもかまわないみたいですね。
“ハイジャック犯のことを英語で「Air pirate」(空の海賊)と言うが、これを「空賊」と呼ぶことはない”とも書いてあり、“実在しない存在”に対して、いろいろうんちくがあるのが面白いですね。

投稿: ミム | 2011年1月15日 (土) 16時31分

この記事へのコメントは終了しました。

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 57-不吉な知らせ。(第3章のはじまり):

« 56-第3章を前に。 | トップページ | 58-ならず者の正体。 »