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2010年12月27日 (月)

50-人との出会い。

「ピット船長の意見をうかがってもよろしいですか?」
「もちろんですカケローニ先生。
10年ほど前、世界を結ぶ飛行船構想ができあがったころから、実は今のような論議があったと聞いています」

三人の大人たちの会話をまとめるとこんな内容です。

1. 飛行船の運航にたずさわる船長、航海士、機関長は、世界飛行船協会に所属し特別な訓練を受け資格を取らなければならない。
2. 星から位置を知ることは訓練でできるようになるが、風を読んだり、特に、地質学者が磁力と呼ぶこの星の持っている目に見えない力を感じることは空の種族のもって生まれた能力で、陸の種族にはまねができない。
3. しかし物を作ったり、操作する能力は陸の種族の方がたけている。
4. 生息域(生きる場所)を分けながらも120年間、お互いの長所を生かして、共に歩んできた関係をこわしてはならない。
5. ごく一部には互いをへんけんの目で見る者もいるが、われわれはこれからもこの星で共に互いを尊敬しあって生きてゆき、次の世代に引き継ぎたい。

50 「わたしは陸の種族ですが、飛行膜を持っているので滑空することはできます。
しかしワタリノフ君たちのように羽ばたいて自由に飛べるわけではありません。
特に海を越える飛行には彼らの力がぜひとも必要なんです。
だけどふと思うことがあります。
彼らにとってわたしは必要なのか?と」

「ピット船長、自分は自分の能力を必要としている人たちのために使えるということがとても・・・その――照れくさいですが――嬉しいんです」

「この世に不必要な存在なんてありません。
わたしはそう信じとります。
お二人の話をうかがうことができ、この船に乗ってよかったと心から思えます。
種族だけでなく、分野の異なった職種の方々とご一緒できて、わたしもいい勉強になります」

「教育者にそんなふうに言ってもらうとちょっとくすぐったいな。
飛行船はさまざまな人を乗せる。
実は飛行船乗りになった理由の一つには、そういう“人との出会い”がわたし自身とても楽しいからなんですよ。
違うかな?ワタリノフ君」
「自分も同感です」

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A. 連載童話」カテゴリの記事

コメント

こんばんは

空と陸とは、違う種族同士の2つの力が重なって新しい一つの力を生み出しているんですね。
人との出会いも全て、他人に尽くし与える為にその力があるのかもしれません。

後半のお話は、先生の仕事への熱意や志を強く感じるお話でとても感動しました。
照れくさいですが――嬉しいんです。のところで、TVチャンピオンになった時の先生の
恥ずかしそうな顔を思い出して、、どんなに時が過ぎても三浦先生の心から永遠に夢が消えることがないんだと実感しました。
何が滅んでも先生の心は不滅です。
前回の最後のお返事・・遠い夢ではないと
信じることができそうです!

投稿: ナカムラ | 2010年12月27日 (月) 19時54分

ナカムラさんへ。

本当はひとに偉そうなことを言える立場ではないのです。
大半は自分自身に言い聞かせるために、キャラクターたちの力を借りているというのが真実かもしれません。

古人いわく、信ずるものは救われる・・・。
これでいきましょう!

投稿: ミム | 2010年12月27日 (月) 23時58分

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