48-チュチュの話。
みんなの目が小さなチュチュに集まっています。
「プリマージュっていう雑誌の文通欄がきっかけで手紙のやり取りを始めました。
えーっと、わたしの場合、まず手紙を書いたらミノール中央郵便局の窓口で、世界郵便用切手を貼って海外専用ポストに入れます。
そこで集められた手紙や葉書は、えー、“普通”と“速着”に分けられ、あ、言い忘れましたが、普通と速着は切手と料金が違います。
“海外普通”は70ドングル、“海外速着”は120ドングルの切手をそれぞれ貼って、速着の場合は特に、あて名のところに“速着”と赤い字で書き添えます。
でも重さや封筒の大きさで・・・」
「チュチュ、そのあたりは料金以外国内郵便でも同じだからとばしていいよ」
とカケローニ先生。
「あ、はい。とにかく仕分けされて速着の場合は“渡り鳥急行”の職員がすぐに海を渡ってくれます。
相手の国や地域の郵便組合にいったん集められ、それから「ツバメール」などの職員があて先に届けてくれます。
わたしたちのいるアイジア地方なら直行便なので、二日もあれば相手に届くそうです。
でもフロンシェやイタロア、ロキアなどの東西ヤーロップ方面や、アメリア方面なんかはいくつも中継地を経由していくので、だいたい一週間くらいはかかると聞きました。
以上です」
「ありがとう、チュチュ」
「あ、もう一つ言い忘れました。
郵便局の窓口に行くと世界郵便の仕組みや料金のことなどを書いたパンフレットがおいてあるので、それを読めばよくわかると思います。
これで以上です」
普段の雑談ではなんともないのに、“話すこと”を意識して話すと、どうしてこんなにドキドキしてしまうのかしら?
いつか舞台に立つんだからもっと度胸をつけなきゃ。
チュチュはそんなことを感じながら話し終えました。
「細かい配慮ありがとう、チュチュ。
これまでのみんなの話で、世界郵便協会に関しての知識もより深まったと思う。
ところで、いま世の中は飛行船時代に向かって動いているけど、それにあわせて人や物の移動、運搬手段も変わっていくことになる。
それについてはこれからの授業で学んでいくことにして、とりあえずここに“世界郵便協会の集配人”がはたして来るかどうかだが・・・・」
カケローニ先生も本当のところ、初めてのケースなので断言できずにいます。
「一応最新のルールでは、郵便局上空を飛行する船には通信員か集配人が来ることにはなってる。
それにこの飛行船あての郵便物がある場合は、当然届けなけりゃいかんのでね」
「ま、そんなわけだから、みんな手紙を書こう!」
「先生!」
「どうしたトビー?」
「1限目が終わる時刻です」
「そうか。2限目こそ、みんなで手紙を書こう!」
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コメント
こんばんは
今回はチュチュがメインのお話ですね。
チュチュは登場してからずっと見続けてきましたが、姿はとても可愛いらしいですが、中身はガラス細工みたいな心を持つ憂いのあるお人形みたいな綺麗な女の子という印象です
。
彼女は毎晩レッスンしてるらしいですが、ネズミは夜行性だから夜の方が元気だったりして・・?
傷つきやすくて、凄く傷ついてるのに、それでも負けずに向上心を忘れない素敵な女の子。みんなに一生懸命な想いが伝わるといいですね。
チュチュ・・・応援してるよ。
頑張れっ
投稿: ナカムラ | 2010年12月22日 (水) 19時02分
ナカムラさま
就寝前のレッスンは、かえって昼間の疲れをほぐすのにちょうどよいみたいです。
このたびはわたくしチュチュに熱い応援を下さり感激しています。
期待にこたえられるよう、これからも向上心を忘れず一生懸命頑張ります!!
本当にありがとうございました。(チュチュ)
投稿: チュチュ | 2010年12月22日 (水) 23時44分
チュチュへ
お返事ありがとう!
チュチュの傷ついてる心の痛みが、もしも誰にも届かなかったとしても・・・
チュチュは誰かの傷ついた心を理解して労ることが出来る。傷ついてるからこそ出来る。
凄く繊細なのに、よく頑張って冒険に参加したね。 私はいつだってチュチュみたいな女の子の味方だよ!
怪我をしないようにこれからもレッスン頑張ってね☆
ナカムラより
投稿: ナカムラ | 2010年12月23日 (木) 12時20分