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2010年12月 3日 (金)

40-空中での生活。

「おや、“お騒がせコンビ”がもどってきたぞ」
トビーは双子の弟ハーネルのことが心配でしたが、照れくさいのでついこんな口をきいてしまいます。
いつものハーネルなら言い返すのですが、なぜかこのときはコンラッドといっしょに
「みんなごめんよ、心配かけて」
と、すなおにあやまりました。
なので、そんな口をきいたトビーのほうが、かえって照れくさくなってしまいました。

「みんな動力室の見学は楽しかったかな?
“少しばかり”アクシデントもあったらしいが、有意義な体験だったと確信しているよ」
と船長は“少しばかり”のところを強調して、操舵室にあがる階段の前でこどもたちを出迎えました。

「うまく船が風に乗ったようですね」
とカケローニ先生が言ったとたん、突然飛行船全体が大きく揺れました。

「うわーっ!」
ポンゴが床に倒れ通路を転がっていきましたが、船の揺れはすぐに治まりました。
「大丈夫か?」
カケローニ先生は、すばやくポンゴのところにかけ出して抱き起こしました。
こういうときのカケローニ先生のすばやさはさすがだわ、と壁に寄りかかりながらコロンは感心しました。
ほかのみんなも壁におでこをぶつけたり、しりもちをついたりしましたが、けがはありません。
こどもたちは初めての経験で不安な顔をしていますが、船長は何ごともなかったかのように平然としています。

「少し気流の乱れがあったようだ」

40 「飛行船が落っこちちゃうのぉ?」
もどってきたポンゴが少し震えながら船長にたずねました。
「そんなことはないよ。安心したまえ。
最初に説明をしておかなかった私が悪い。
驚かせてしまったね。
空気の流れに乱れがあると、ときどきこんなことがあるんだ。
みんなが里山で乗っている犬引車(けんいんしゃ)も、道に穴ぼこがあったり、石の上に乗り上げたりすると大きく揺れることがあるね。
あれと同じだと思ってくれ」

「船長、“少しばかりの”アクシデントでしたので、有意義な体験になりました」
と、ハーネルはここぞとばかりに答えました。
「これは一本とられてしまったな。
さっそく操舵室に行くことにしよう」

こどもたちは、地上にいるときとは違う環境なんだということがだんだんわかってきました。

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