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2010年11月26日 (金)

38-ヒーゲル少年。

ベッドの端にこしかけながらコンラッドが
「おい、さっきはなぜ笑ったんだ」
とハーネルの耳に口を寄せて聞きました。
「おれの耳はそんなに口を近づけなくったってよく聞こえるんだ。
あとで話してやるよ」

それを聞いていたヒーゲル先生は二人に話しかけました。
「みんながわしのことを“白ヒゲ”と呼んでおることは知っておる。
わしのひげは何色かな?」
「し、白いです」とコンラッド。
「そのとおり、白いヒゲじゃ。
白いヒゲを白ヒゲと呼ぶのは間違いではないからな」

ヒーゲル先生は自慢の白いヒゲを手でなでながら話を続けます。
「もともとわしらカモシカやイワヤギ族は“けわし山”がふるさとじゃ。
今わしらが住んどる里山地区から北の方に見える山じゃ。
里山と違ってほとんどが岩場での。
若いころはわざわざ急斜面を選んでかけまわって遊んだもんじゃ」

38 ハーネルとコンラッドは、白ヒゲ、いえヒーゲル先生がどうしてこんな話をするのかわかりませんでしたが、まだからだがだるいのでおとなしく聞いています。

「山のてっぺん近くはあまりに坂が急で危険地帯じゃから、大人たちからは決して行かないようにと注意されておった。
行くな、と言われれば行きたくなるのが人情じゃ。
特に若いうちはな」

ハーネルもコンラッドもうんうんとうなずいています。

「あんのじょう、危険地帯をかけおりたわしは10エダットも進まんうちに不安定な岩に足を乗せ、転げ落ちて、全身骨折の大けがじゃ。
わしの両親は、骨折がひどくてもう助からんと医者から言われての。
そう式の準備までしたと聞いておる」

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