36-教室でのお父さん。
ヒーゲル先生は二人をしばらく壁ぎわで休ませました。
コロンたちはハーネルとコンラッドにあきれながらも、やはり二人のことが心配です。
カケローニ先生が怖い顔でぶつぶつ言いながら二人の前にやってきました。
「やれやれ、出発そうそうこのさわぎ。先が思いやられる・・・」
ハーネルとコンラッドは黙ってしゅんとしています。
「気分はどうだ?
めまいがおさまるまで先生が付いててやるから安心しろ」
そう言ってふらつく二人を自分の両脇にかかえてささえました。
てっきり大目玉をくらうのかと覚悟していた二人は驚き、涙をこぼしました。
あとになってトビーはハーネルに、おまえの涙を初めて見たぞと言ったそうです。
安心したのか二人は静かに眼を閉じ、カケローニ先生の腕の中で眠っていきました。
ヒーゲル先生は、カケローニ先生の人気の秘密がわかった気がしました。
そしてブライトン校長が、カケローニ先生を代行に選んだわけも。
「きっと彼なら冒険教室で、りっぱな父親役もこなしてくれることじゃろう」
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