33-水中のお日さま。
「その金魚ばちは南の島にだけ育つオオミツボカズラ、またはジャイアント・ハニーポットとよばれる植物です」
「わたしのうちにそれの小さいのが、それに比べれば、ごく小さいのがあります。
こんなに大きなものを見たのは初めてだわ」
とコロンが言いました。
「そうね、ミツボカズラはもともとその中に蜜がたまるので、みんなのうちにもきっとあるわね。
つまり蜜つぼ、って呼んでいたものが名前の由来よ。
つぼの部分が大きくふくらんで透きとおってくるので、ジャムなんかの保存用にも使ってるでしょ」
「中に入ってる光ってる樹は?
樹、ですよね、水の中にはえていますが」
「水天道という樹よ」
「スイテンドウ?」
「水の中のおてんとうさま。
つまりお日さまね。
このお日さまの部分は根っこで、幹はこのずっと上、天井を通りこして4階部に伸びてるの」
「でっかいなぁ・・・・」
リカ機関長の説明が続きます。
「植物も呼吸をしていて、わたしたちになくてはならない酸素を作り出していることは学校でもう習ったわね。
この樹もとうぜん呼吸をしますが、ほかの植物と違って、酸素とは別の気体を出すの」
「別の気体って?」
とトビーが口をはさみます。
「黙って聞きなさいよ、順番に説明してくださるんだから」
とコロン。
「ここがいちばん肝心なところで、この飛行船が飛行船でいられる“秘密”なのよ」
みんな、早くその先を聞きたくてたまりません。
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