« 2010年8月 | トップページ | 2010年10月 »

2010年9月

2010年9月28日 (火)

21-キャプテン、フワット・ピット。

こどもたちはいっせいに飛行船のてっぺんを見ましたが、みんなポカンとしています。
大きな飛行船の頭の上には、小さなリスのような人が立っています。

「あんな高いところに立ってて危ないぞ」
「だれ?」
「白い帽子をかぶっているから、あれが船長?」
「どうするつもりかしら」

みんながあちこちで話しだしたとき、突然その人は飛行船のてっぺんから飛び降りました。

21 「あーっ」
こんどはみんないっせいに叫び声をあげました。
悲鳴も聞こえています。
飛び降りた人はさっと両手両足を広げたとたん、すーっとみんなの頭の上を飛んで旋回し、ステージの上にふわりと降り立ちました。
とても優雅に。

「やあみなさん、飛行船オデッセイのキャプテン、フワット・ピットです。
はじめまして」

「かっこいいなあ」
「モモンガだったんだ」
トビーたちは大こうふんです。
小柄だけどとてもりっぱなキャプテンは、あっという間にこどもたちの心をつかんでしまいました。

冒険授業出発まであと二日。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2010年9月26日 (日)

20-テスト飛行。

飛行に先立ちクルミスキー市長や、胸に飾りをつけた何とかという数人の人たちがあいさつをしています。
これはどこでも見られる風景で、また、話がちょっと長め、というところも共通しているようです。

あいさつの後、飛行船オデッセイの船長(キャプテン)が紹介されることになっています。
みんなの関心はそちらにあるようなので、あいさつの内容は省略することにしましょう。

「ではご紹介します。
ピット船長、どうぞ!」

・・・姿が見えません。
どこにいってしまったのでしょう?

「遅刻か?こんな大事なときに」

こどもたちもきょろきょろしています。
市長も心配そうにあたりを見回しています。
でもヒーゲル先生とカケローニ先生はなぜかニヤニヤしています。

20 と、そのときカケローニ先生が
「おや?あれはなんだ?」
と、飛行船のてっぺんを指さしました。
そしてヒーゲル先生に
「ちょっとわざとらしくありませんでしたか?」
と、小声でたずねました。
「なに、かまわんよ。ごらん、こどもたちを」

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2010年9月23日 (木)

19-ミノール市誕生500周年。

192 この里山があるミノール市は、市が誕生して今年でちょうど500年になります。
3年前その特別記念の仕事として市は初めての飛行船を作る計画を立てました。
クルミスキー市長はそのために3年間準備をしてきました。
19飛行船のことは一部の関係者だけに知らされて、むこう山の雑木林の奥でだれにも知られず建造が行われてきました。

「ただいまからテスト遊覧飛行に移ります」
役所の人が市長をはじめ、何人かの関係者を飛行船の前に案内しています。
その中には校長代行のカケローニ先生と、ヒーゲル先生の姿も見えました。
カケローニ先生は少し緊張していますが、いつものようにトコトコと走って前に出て行きました。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2010年9月21日 (火)

18-おひろめの日。

ついに新しい乗り物が完成し、市民に公開される日がやってきました。
里山はお祭りさわぎです。

18 飛行船、オデッセイ。
大冒険旅行号です。

「すごいなー」
「あれに乗ってぼくらは海を渡るんだ」
「確かに車輪も付いてるわ」
「飛行船って何?」
「空飛ぶ船・・・ってことだろ」

こどもたちは目を輝かせてその雄姿(ゆうし)をながめています。
ここ、みはらしヶ丘のいただきには市庁舎がありますが、新しく飛行船乗り場が加わり生まれ変わりました。
街にもう一つ名所ができたとおとなたちは言っています。

飛行船がペンギン型なのは、第1回の冒険授業の、通称「ペンギンに会いに行こうツアー」を記念してのことだそうです。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2010年9月19日 (日)

17-校長代行。

「こどもたちがいろんなところに出没しているようですね」とカケローニ先生は少し困った顔をしながらベリーティーをすすりましたが、その目は笑っています。
「立ち入り禁止区域にもな。まさに興味しんしんだ」
校長先生もにやにやしながら、
「わしも若けりゃきっと同じようにしただうな」
「同感です!」
「若いころは無頼派(ぶらいは)と言われたわしじゃ、ホントはいまだってそうしたいがね」

17 「ところで、今度の冒険授業に君にも同行してもらいたいんじゃ、カケローニ君」
「わたしがですか。ええもちろん行かせていただけるのなら・・・」

カケローニ先生はまだ若く、冒険授業の担当を一度もしたことがありません。

「校長のそばで、これまでの冒険授業の経験を直接学べるのなら、わたしにとってもいい経験になります」
「いやいや、そうではない。
校長代行としてだよ」
「ブライトン校長の代わり?わたしが、ですか?」
「君の経歴からいってぜひ行ってもらわんとこまることがあるんだよ。
急な話ですまんがなぁ」

校長先生には何か考えがあるようです。
カケローニ先生はとても驚きましたが、わけを聞いてもちろんその役目をつつしんで受けたのは言うまでもありません。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2010年9月16日 (木)

16-カケローニ先生。

16 「校長、お待たせしました!」
汗をいっぱいかいています。
「何もそんなにあわてて来ることはないのに、いつも元気がいいなあ、君は」
「いやぁ、何か用事があったら走らずにはおられん性格で・・・。
気にせんでください」
まだ息がはあはあいっています。
「まぁベリーティーでも一杯おあがり」
「おおっ!これがうわさの奇跡のお茶!
感激です。校長手ずからいれたお茶をいただけるなんて!」
「カケローニ君、少し大げさすぎやせんかね?」

スタコラット・カケローニ先生、こどもたちから絶大な人気があるのですが、どうもちょっと軽めのようです。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2010年9月14日 (火)

15-ブライトン校長の決意。

今度の冒険旅行は市とわたしの名誉をかけて成功させなけりゃならないの。
何ごともないことを祈ってますよ、という市長の言葉が校長先生に重く響きました。

15 市長に言われるまでもなく、校長先生はこどもたちの安全をだれよりも心がけています。
健康のこともあり、そろそろ後任の先生にその職をゆずることも考えていたのです。
去年までは冒険授業につきそっていましたが、今回は自分よりも若くて体力のある先生につきそいを交代するつもりでいます。
そう、いま坂道をトコトコとかけてくるあの先生に。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2010年9月12日 (日)

14-市長のカリカリ。

14―――モグモグ・・・。
「あなたの学校の安全管理はいったいどうなってるのかしら?
わたしがここの市長になった最初の年にも、たしか雪山で遭難者をだしたわね。
そして今度は立ち入り禁止区域での骨折事故」

そう言いながらナッツ入れに手を伸ばしましたが、もう中身はありません。

「PTAからもたくさん苦情が届いてますわ」
今度は頭の中がカリカリしているようです。

「ところでブライトン校長、あなた校長になって何年だったかしら?」
「8年、今年で9年目ですな」

「そう、そろそろ次の人に交代する時期かもしれないわね」

またまたじろりと、そして冷たくほほえみながら校長先生をにらみました。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2010年9月10日 (金)

13-市長からの呼び出し。

―――カリカリ。
大好きなミックスナッツを食べながら、
「忙しいところを呼びだしてごめんなさいね、ブライトン校長」

「いやいや、わしも新しい乗り物のおひろめ式や記念イベントなどのことで、市長といろいろ話がしたかったのでちょうどよかった」

―――モグモグ・・・。
ほおぶくろを膨らませながら、
「そうね。そのことはあとで秘書とゆっくりなさってください。
こまごまとしたことは秘書にすべてまかせてありますから」

13 ―――カリカリ。
「きょう来ていただいたのはそのことではありません」
3年めを迎えたダイダイシマリスのクルミスキー市長は、じろりと、でもほほえみながら校長先生をにらみました。

校長先生は、学校でけが人が出たことで呼びだされたんだということを、本当はわかっていました。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2010年9月 8日 (水)

12-コンラッド君骨折。

「ヒーゲル先生、コンラッドがけがをしました!」
と、校長先生とヒーゲル先生が話し合っているところに、ポンゴが走ってきました。

新しい乗り物の正体を見ようと、コンラッドは立ち入り禁止区域にひとりで行ったようです。
よく見ようと木に登っているところを、警備係りに見つかりあわててしまい、木から落ちてしまいました。

12e コンラッドは、ヒーゲル先生の手当てを受けながら涙を流しています。
「もう少しで乗り物の正体がわかったのに・・・」
どうやら骨折の痛みからではなく、くやし涙のようでした。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2010年9月 6日 (月)

11-ドクターヒーゲル。

「ブライトン校長」
「ああ、ヒーゲル先生。ベリーティーをいれたところです。
いっしょにいかがかな?」
「いいですな。校長のいれたベリーティーはわたしも大好きですぞ。
材料違ううんでしょうな、やはり」
「いやいや、お湯の温度とむらしのタイミングだけですよ」
校長先生はテレながらも嬉しそうに、ベリーティーをヒーゲル先生のティーカップにそそぎました。

11 「ところで校長、その後腰のぐあいはいかがかな?」
校長先生は去年の夏にぎっくり腰になってしまい、ヒーゲル先生から治療を受けていました。
ヒーゲル先生はこの学校の校医をしていますが、大変な名医です。
こどもたちからはちょっと怖がられていますが、本当はやさしい先生です。
年配のお医者さんはどこでもみんなそんな感じがします。
毎年冒険授業につきそってこどもたちの面倒をみてくれますが、今回は初めての大旅行になるため、校長先生と毎日細かく計画をねっています。

そしていつも、さりげなく校長先生のからだのぐあいをみてくれるのでした。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2010年9月 4日 (土)

10-乗り物に関する情報。

101 「それには車輪が付くらしいぞ」とトビー。
「とにかくでかいんだ」とハーネル。
「君たち立ち入り禁止区域に行ったのかい?」とキツネのコンラッド。
「ぼくだって行ったんだぜ」と、とても嬉しそうにタヌキのポンゴ。
「だけど海を渡るのにどうして車輪が付いてるんだい?
大型バスや列車じゃないんだろ?
ぼくは船って聞いたぞ、父さんから」

コンラッドは自分が見にいけなかったので悔しくてたまりません。

102 「わからないよ。警備がきびしくて、それ以上近寄れないんだ」
「なにしろ乗り物の本体はむこう山の森の中にかくされて、ほとんど見えないからね」

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2010年9月 2日 (木)

09-苦しい・・・。

チュチュは自分をせめていました。

スキー合宿のときは、慣れないスキーをしてもしも足の骨を折りでもしたら、もうバレーをすることはできなくなってしまうよと、バレーの先生やお母さんは強く反対しました。

092 でもチュチュは仲良しのみんなと一緒に行きたくて、お母さんたちの反対を押し切って参加したのでした。
骨折やけがはしなかったけど、心には傷が残りました。

「わたしも本当は知らない世界を見てみたい、コロンたちと出かけたい・・・」
でもチュチュは親やバレーの先生にその気持ちを言い出せません。
「つらかったのね」
コロンはチュチュのために、何かできることはないか考えてみることにしました。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2010年9月 1日 (水)

08-寒いのにがて。

「ごめんね」
死ととなりあわせの恐怖というものを経験したことのないコロンは、このことでこれ以上何も言えませんでした。

082 「わたしたちクマも本当は冬がにがてなのよ。
ずっと昔、私たちの祖先は冬のあいだ穴の中に入って、春まで眠り続けたって、おばあちゃんから聞いたわ。
だから今でもわたしたちは寒くなると少し頭がボーっとして、からだが思うように動かなくなってしまうことがあるの。
だからホントいうと南極へ行ったら眠ってしまうかもね」

「それと、わたしも毎日拳法の練習をしているから、冒険授業の途中だってするつもり。
今度の新しい乗り物は大きいからじゅうぶんその広さはあるって、校長先生がおっしゃってたわ」

| | コメント (0) | トラックバック (0)

« 2010年8月 | トップページ | 2010年10月 »